2026年FIFA ワールドカップの抽選が行われ、日本代表はグループFでオランダ代表と対戦することが決定しました。
オランダといえば、FIFA ランキング7位を誇る強豪国。
その中盤には、バルセロナの司令塔フレンキー・デ・ヨングと、マンチェスター・シティへ移籍したばかりのタイアニ・ラインデルスという2人のワールドクラスのミッドフィールダーが君臨しています。
さらに、若手のシャビ・シモンズ(22歳、トッテナム)やライアン・グラーフェンベルフ(23歳、リバプール)といった次世代のタレントも控えており、オランダの中盤は「黄金世代」と呼べる充実ぶりです。
※シモンズ選手とグラーフェンベルフ選手の詳細な身体能力分析については、別記事「シャビ・シモンズとライアン・フラーフェンベルフ アスレティックトレーナー視点での身体的評価分析」で詳しく解説しています。
その中でも、経験と実力を兼ね備えたデ・ヨング(28歳)とラインデルス(27歳)は、2026年ワールドカップでチームの中心を担う「主力組」として期待されています。この記事では、この主力2選手に焦点を当てて分析します。
私は日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)として8年間、整形外科5年、大学トレーニングジム5年、少年サッカーチーム2年、社会人ラグビーチーム2年の現場経験があります。少年サッカーチームでは、オランダ式の育成メソッドに触れる機会もあり、オランダサッカーの「個の育成」への徹底したこだわりを目の当たりにしました。
フレンキー・デ・ヨング選手とタイアニ・ラインデルス選手は、
「低重心による卓越したバランス能力とボールキャリー」「爆発的なシュート技術と決定力」「世界最高峰の認知機能と判断速度」という3つの身体能力で、日本代表の中盤を圧倒する可能性が極めて高いです。
デ・ヨングはパス成功率94.1%(2024-25ラ・リーガ)とプログレッシブキャリー230ヤード/試合という数字で中盤を支配し、ラインデルスは2024-25シーズンに15ゴールを叩き込み、セリエA最優秀ミッドフィールダーに輝きました。両選手とも181-185cmの体格を持ちながら、低重心の動きとテクニックを併せ持つ、日本代表にとって最も厄介なタイプの選手です。
この記事では、アスレティックトレーナーの専門知識に基づいて、両選手の身体能力を徹底分析し、なぜ彼らが日本代表にとって大きな脅威となるのかをロジカルに解説します。
2026年ワールドカップ:日本 vs オランダの対戦が決定
グループF組み合わせ
2026年FIFA ワールドカップの組み合わせ抽選が行われ、日本代表はグループFに入りました。
グループF
| 国名 | FIFA ランキング(2025年11月) | 備考 |
|---|---|---|
| 日本 | 15位 | アジア最終予選1位通過 |
| オランダ | 7位 | 欧州予選グループG 1位通過(6勝2分無敗) |
| チュニジア | 40位 | アフリカ予選1位 |
| 未定 | – | プレーオフ勝者 |
オランダ代表の充実した中盤
オランダ代表の中盤は、世界でも屈指の層の厚さを誇ります。
中盤の主要メンバー
| 選手名 | 年齢 | 所属クラブ | ポジション | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| フレンキー・デ・ヨング | 28歳 | バルセロナ | セントラルMF | ポゼッション型・司令塔 |
| タイアニ・ラインデルス | 27歳 | マンチェスター・シティ | セントラルMF | ボックス・トゥ・ボックス型 |
| シャビ・シモンズ | 22歳 | トッテナム | 攻撃的MF | 若手のゲームメーカー |
| ライアン・グラーフェンベルフ | 23歳 | リバプール | セントラルMF | 万能型・次世代のエース |
この中でも、デ・ヨングとラインデルスは経験と実力を兼ね備えた「主力組」として、チームの中心を担います。一方、シモンズとグラーフェンベルフは「若手組」として、スピードとフレッシュさでチームに活力を与えます。
日本サッカーファンと専門家の見解
オランダとの対戦が決まった際、一部の専門家からは「オランダはいける!全然いける!」という声も上がりました。しかし、オランダ代表の中盤の質は世界屈指であり、特にデ・ヨングとラインデルスのコンビネーションは、日本代表の中盤にとって大きな脅威となることは間違いありません。
日本が勝つためには、「シャビ・シモンズ選手へのパスコースを遮断し、メンフィス・デパイ選手への決定的な供給を防ぐこと」が必須とも分析されています。
しかし、その前提としてデ・ヨングとラインデルスという2枚のフィルターを突破しなければなりません。
フレンキー・デ・ヨング選手の基本データとプロフィール
基本情報
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 生年月日 | 1997年5月12日 |
| 年齢 | 28歳(2025年12月現在) |
| 出身地 | オランダ・南ホラント州アルケル |
| 身長 | 181cm(5’11″) |
| 体重 | 74kg(163 lbs) |
| ポジション | ミッドフィールダー(セントラルMF) |
| 利き足 | 右足 |
| 所属チーム | FC バルセロナ(スペイン・ラ・リーガ) |
| 背番号 | 21番 |
サッカー経歴
| 時期 | 所属 | 備考 |
|---|---|---|
| 2015-2019 | アヤックス・アムステルダム | オランダ1部 |
| 2019年7月〜 | FC バルセロナ | スペイン1部 |
主な実績・成績
クラブでの成績
| シーズン | 所属 | リーグ戦 | ゴール | アシスト | 特記事項 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2024-25 | バルセロナ | 44試合 | – | – | パス成功率94.1% |
| 2025-26 | バルセロナ | 14試合 | 0ゴール | 3アシスト | 怪我で離脱中 |
代表での活躍
- オランダ代表(2018年〜)
- カタールワールドカップ2022出場(準々決勝敗退)
- 2026年ワールドカップ出場確定
評価と実績
- バルセロナ通算:297試合21ゴール
- タイトル:コパ・デル・レイ2回、ラ・リーガ2回、スーペルコパ2回
- バルセロナのレジェンド、シャビ・エルナンデス氏から「セルヒオ・ブスケツに似ている」と評価
- アヤックス時代:パス成功率91%、ドリブル成功率93%
- 2024-25シーズン:パス成功率94.1%(ラ・リーガ)
最新状況(2025-26シーズン)
2025-26シーズン開幕戦のマジョルカ戦(3-0勝利)とラージョ・バジェカーノ戦(1-1ドロー)に先発フル出場しましたが、9月初旬に右脚の外閉鎖筋に軽傷を負い、離脱しました。
現在は回復中で、オランダ代表にも招集されていませんが、2026年ワールドカップまでには完全復帰が見込まれています。
タイアニ・ラインデルス選手の基本データとプロフィール
基本情報
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 生年月日 | 1998年7月29日 |
| 年齢 | 27歳(2025年12月現在) |
| 出身地 | オランダ・ズヴォレ |
| 身長 | 185cm |
| 体重 | 推定75-78kg(非公表) |
| ポジション | ミッドフィールダー(セントラルMF) |
| 利き足 | 右足 |
| 所属チーム | マンチェスター・シティFC(イングランド・プレミアリーグ) |
| 背番号 | 4 |
サッカー経歴
| 時期 | 所属 | 備考 |
|---|---|---|
| 2023-2025 | ACミラン | イタリア1部(セリエA) |
| 2025年6月〜 | マンチェスター・シティ | イングランド1部 |
主な実績・成績
クラブでの成績
| シーズン | 所属 | 公式戦 | ゴール | アシスト | 特記事項 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023-24 | ACミラン | 52試合 | 4ゴール | – | 初年度 |
| 2024-25 | ACミラン | 54試合 | 15ゴール | 5アシスト | セリエA最優秀MF受賞 |
| 2025-26 | マンチェスター・シティ | 19試合 | 5ゴール | 2アシスト | 開幕戦でゴール&アシスト |
ACミラン通算: 104試合19ゴール(2年間)
代表での活躍
- オランダ代表(2023年〜)
- 2026年ワールドカップ出場確定
評価と実績
- 2024-25セリエA最優秀ミッドフィールダー
- スーペルコパ・イタリアーナ優勝(2024-25)
- 2024-25シーズン:セリエAで最も守備ラインを破るパスを出した選手(47回)
- 77本のシュート(セリエAの非FW選手で最多)
- 2025年6月、マンチェスター・シティへ移籍金£46.5m(約91億円)で移籍、5年契約
- マンチェスター・シティ開幕戦(vs ウルブス)で1ゴール1アシストの活躍
プレースタイル
ラインデルス本人は「私はボックス・トゥ・ボックスの選手です。時にはボールを運び、時にはストライカーを正しい位置に置きます」と語っています。自身のポジションを「8番」と定義し、「守備と攻撃の間で動く選手」として、ビルドアップにも最終局面にも関与することを好みます。
また、ケヴィン・デ・ブライネとの比較について「それは明らかに大きな賛辞ですが、私の役割は違います」と謙虚にコメントしています。
両選手の基本データ比較
| 項目 | フレンキー・デ・ヨング | タイアニ・ラインデルス | 日本代表MF平均 |
|---|---|---|---|
| 年齢 | 28歳 | 27歳 | 26-28歳 |
| 身長 | 181cm | 185cm | 175-178cm |
| 体重 | 74kg | 推定75-78kg | 68-72kg |
| BMI | 22.6 | 21.9-22.8 | 22-23 |
| 所属リーグ | ラ・リーガ(スペイン) | プレミアリーグ(イングランド) | – |
| プレースタイル | ポゼッション型・パサー | ボックス・トゥ・ボックス型 | – |
| 特徴 | 低重心・ボールキャリー | シュート技術・得点力 | – |
両選手とも、日本代表の中盤選手と比較して身長で3-10cm、体重で3-10kg上回っています。しかし、単純なフィジカルの差だけではなく、後述する低重心でのバランス能力、シュート技術、認知機能の質が、彼らを世界トップレベルに押し上げています。
JSPOアスレティックトレーナー視点での専門的分析
ここからは、アスレティックトレーナーとしての専門知識を活かして、両選手の身体能力を科学的に分析します。
【専門分析①】デ・ヨングの低重心によるバランス能力とプログレッシブキャリー
低重心とバランス能力のメカニズム
フレンキー・デ・ヨングは、身長181cm(5’11″)、体重74kg(163 lbs)という体格で、「低重心(low centre of gravity)」の選手として知られています。
低重心がもたらすメリット
| メリット | 説明 | デ・ヨングの特徴 |
|---|---|---|
| 安定性 | 重心が低いほど、接触時に体勢を崩しにくい | プレッシャー下でもバランスを維持 |
| 方向転換のスピード | 重心移動が素早くできる | 狭いスペースでのターンが得意 |
| ドリブルの安定性 | ボールを足元に置いたまま動ける | ドリブル成功率93%(アヤックス時代) |
アスレティックトレーナーの視点から見ると、低重心は体幹の強さと股関節の柔軟性によって支えられています。
デ・ヨングは、腹筋・背筋・骨盤周りの筋肉群が発達しており、さらに股関節の可動域が広いため、低い姿勢でも力強く動けます。
プログレッシブキャリーとは
プログレッシブキャリーとは、ボールを保持しながら相手ゴールに向かって大きく前進する能力のことです。
プログレッシブキャリーの定義(StatsBomb)
- 自陣での開始→30m以上前進
- 自陣開始・敵陣終了→15m以上前進
- 敵陣での開始と終了→10m以上前進
デ・ヨングのプログレッシブキャリー能力
| 指標 | 数値 | 説明 |
|---|---|---|
| プログレッシブキャリー距離 | 230ヤード/試合 | エデン・アザール級の数値 |
| プログレッシブキャリー回数 | 9回/90分 | センターバック・フルバック・中盤選手の中でトップクラス |
| ドリブル成功率 | 79.5% | 1試合あたり1.77回のドリブルを試みて成功 |
バイオメカニクス的分析
プログレッシブキャリーの能力は、以下の身体機能が関与します:
- 加速力
- 最初の数歩で素早く加速できる
- 大臀筋とハムストリングスの筋力
- 方向転換能力
- 急な方向転換でも速度を落とさない
- 股関節の可動域と体幹の安定性
- ボールコントロール
- 高速移動中も足元にボールを置ける
- 固有感覚(Proprioception)の優秀性
デ・ヨングは、これらすべての要素を高いレベルで兼ね備えており、ボールを持って相手の守備ラインを突破できる数少ない中盤選手です。
デ・ヨングのキャリーが日本代表にとって脅威である理由
1. プレスが効かない
日本代表が得意とする高い位置からのプレッシングも、デ・ヨングには通用しにくい。
低重心とバランス能力により、接触を受けてもボールを失わず、むしろその瞬間にスペースへ抜け出します。
2. 守備ラインを引きずり出す
デ・ヨングがボールを持って前進すると、日本の守備陣は対応を迫られます。
中盤が寄せれば裏にスペースができ、守備ラインが前に出ればさらに裏を狙われます。
3. シモンズやガクポへの供給
デ・ヨングが中盤からボールを運ぶことで、シャビ・シモンズやコーディ・ガクポといった攻撃的な選手へ、より良い状態でボールを届けられます。
【専門分析②】ラインデルスの爆発的なシュート技術と決定力
ミッドフィールダーとしての異例の得点力
タイアニ・ラインデルスは、2024-25シーズンに公式戦54試合で15ゴールを記録しました。
これは、ミッドフィールダーとしては異例の数字です。
ラインデルスの得点力の推移
| シーズン | 所属 | 試合数 | ゴール | 1試合あたり |
|---|---|---|---|---|
| 2023-24 | ACミラン | 52試合 | 4ゴール | 0.08 |
| 2024-25 | ACミラン | 54試合 | 15ゴール | 0.28 |
わずか1年で、1試合あたりのゴール数が3.5倍に増加しました。
これは、シュート技術の向上と、ボックス侵入のタイミングが飛躍的に改善したことを示しています。
シュート技術のバイオメカニクス
シュート本数とシュート精度
| 指標 | 数値 | セリエA順位 |
|---|---|---|
| シュート本数 | 77本 | 非FW選手で最多 |
| ゴール数 | 15ゴール | 中盤選手で2位タイ |
| シュート成功率 | 19.5% | – |
ラインデルスは、量(シュート本数)と質(成功率)の両方を兼ね備えています。
シュート技術の特徴
スポーツ科学の研究によると、シュートの精度と威力は以下の要素で決まります:
- 踏み込み足の位置
- ボールの横に踏み込む位置が重要
- ラインデルスは最適な位置に踏み込める
- 蹴り足の振りのスピード
- 膝下の振りが速いほど、ボールに力が伝わる
- 大腿四頭筋とハムストリングスの筋力
- 足首の固定力
- インパクト時に足首が固定されていると、力のロスが少ない
- ラインデルスは足首の固定が優秀
- 体幹の回転
- 腰の回転を使うことで、より強いシュートが打てる
- 腹斜筋の筋力が重要
出典: PMC – Soccer Scoring Techniques Biomechanics; Frontiers – Shooting Precision Quantification
ボックス侵入のタイミング
「ボックス・トゥ・ボックス」の真髄
ラインデルスは自身を「ボックス・トゥ・ボックスの選手」と定義しています。
これは、自陣ペナルティエリア(守備)から相手ペナルティエリア(攻撃)まで動き回る選手という意味です。
ボックス侵入の特徴
- 深い位置からの飛び出し
- 中盤の深い位置から一気にボックスへ侵入
- ディフェンスが捕まえにくい
- ストライカーの裏を取る動き
- ストライカーよりもさらに前に飛び出す
- 「フリーの選手」になりやすい
- セカンドボールへの反応
- こぼれ球を素早く拾える位置取り
- リバウンドシュートでの得点が多い
運動生理学的分析
ボックス侵入を繰り返すには、高い無酸素性持久力が必要です。
これは、短時間の高強度運動を繰り返す能力のことで、以下の要素が関与します:
- 速筋線維の割合: ラインデルスは速筋線維(Type II)の割合が高いと推測される
- クレアチンリン酸系のエネルギー供給: 短時間で爆発的な力を出せる
- 乳酸除去能力: 高強度運動後の回復が速い
ラインデルスのシュートが日本代表にとって脅威である理由
1. 中盤からの不意打ち
日本の守備陣は、フォワードのマークには慣れていますが、中盤からの飛び出しへの対応は難しい。ラインデルスの飛び出しは、日本の守備に混乱をもたらします。
2. ロングレンジシュートの脅威
ラインデルスは30m以上の距離からもシュートを打てます。日本のゴールキーパーは、常にロングシュートへの警戒が必要になり、守備ラインを下げざるを得なくなります。
3. セットプレーでの脅威
185cmの身長を活かしたヘディングも武器。コーナーキックやフリーキックで、日本のゴール前に追加の脅威をもたらします。
【専門分析③】世界最高峰の認知機能と判断速度
認知機能とサッカーパフォーマンス
サッカーにおける認知機能とは、視覚情報を処理し、最適な判断を下す能力のことです。
スポーツ科学の研究によると、エリートサッカー選手の判断時間は250-260ミリ秒で、一般的なプレーヤー(300-320ミリ秒)と比較して約15-20%速いことが分かっています。
出典: Frontiers in Psychology – Cognitive Functions and Sport-Specific Motor Skills; PMC – Decision-Making Time and Neuromuscular Coordination
デ・ヨングの認知機能
パス成功率94.1%(2024-25ラ・リーガ)
この驚異的な数字は、デ・ヨングが常に最適なパスコースを選択できることを示しています。
デ・ヨングの認知機能の特徴
- 360度の視野
- ボールを受ける前に周囲を確認
- 「首を振る」回数が多い
- プレッシャー下での冷静さ
- 相手に囲まれても慌てない
- 最適な選択肢を見つけられる
- 状況判断の速さ
- パス、ドリブル、シュートの判断が瞬時
- 判断時間250ミリ秒以下と推測
ラインデルスの認知機能
守備ラインを破るパス47回(セリエA最多)
この数字は、ラインデルスが相手の守備ラインの穴を見つける能力に優れていることを示しています。
ラインデルスの認知機能の特徴
- スペース認識能力
- ボックス内での最適な位置を見つけられる
- ディフェンスの視野から外れる動き
- 攻守の切り替えの速さ
- ボールを奪った瞬間に攻撃を開始
- カウンターの起点になれる
- ゴールを奪えるタイミングの判断
- シュートを打つべきタイミングを見極められる
- 15ゴールという数字がその証拠
神経科学的根拠
スポーツ神経科学の研究では、長期的なトレーニングが脳の活性化パターンを変えることが示されています。
デ・ヨングとラインデルスは、若い頃から高いレベルでプレーしており、脳の情報処理速度と正確性が最適化されています。
脳の活性化領域
| 領域 | 機能 | デ・ヨング・ラインデルスの特徴 |
|---|---|---|
| 視覚野 | 視覚情報の処理 | 周辺視野が広い |
| 前頭前野 | 意思決定・判断 | 判断速度が速い |
| 運動野 | 運動の制御 | スムーズな動作 |
| 小脳 | バランス・協調性 | 低重心でもバランスを維持 |
出典: PMC – Neural Mechanism of Long-Term Motor Training
両選手が日本代表にとって驚異である理由:ロジカル分析
理由①:中盤での支配力の圧倒的な差
デ・ヨングのボールキャリーによる前進
プログレッシブキャリー230ヤード/試合という数字は、試合を通じて相手陣地へボールを運ぶ能力が非常に高いことを示しています。
日本代表への影響
| オランダの攻撃パターン | 日本の対応 | 結果 |
|---|---|---|
| デ・ヨングが中盤でボールを受ける | 日本の中盤がプレス | デ・ヨングがプレスを外して前進 |
| デ・ヨングがボールを運ぶ | 日本の守備ラインが対応を迫られる | 守備ラインが引きずり出される |
| デ・ヨングがシモンズ/ガクポへパス | 日本のディフェンスラインの裏 | 決定的なチャンス |
ラインデルスの得点力による追加の脅威
15ゴールという数字は、日本の守備陣がフォワードだけでなく中盤選手もマークしなければならないことを意味します。
日本代表への影響
- マークの分散
- フォワード(ガクポ、デパイ)+ 中盤(ラインデルス)= 守備が薄くなる
- ロングシュートへの警戒
- 77本のシュートの多くはミドルレンジから
- ゴールキーパーが前に出られない
- セカンドボールの争奪
- ラインデルスがボックス内に侵入
- こぼれ球を拾われるリスク
理由②:フィジカルとテクニックの両立
体格差によるデュエル(競り合い)での優位性
| 項目 | デ・ヨング | ラインデルス | 日本代表MF平均 | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 身長 | 181cm | 185cm | 175-178cm | +3-10cm |
| 体重 | 74kg | 75-78kg | 68-72kg | +3-10kg |
しかし、単なる体格差ではありません。低重心とテクニックの組み合わせが、日本代表にとって最も厄介です。
具体的な脅威
- デ・ヨングの低重心ドリブル
- 体格で勝負しようとしても、低い姿勢でかわされる
- テクニックで勝負しようとしても、体幹の強さで押し込まれる
- ラインデルスのボックス内での強さ
- 185cmの体格で競り勝つ
- さらに足元のテクニックも高い
日本代表にとっての脅威
- フィジカルで勝負しようとしても、テクニックで上回られる
- テクニックで勝負しようとしても、フィジカルで押し込まれる
- どちらのアプローチでも対応が困難
理由③:認知機能による判断速度の差
パス成功率94.1%とラインブレイクパス47回
デ・ヨングのパス成功率94.1%とラインデルスのラインブレイクパス47回は、両選手の判断速度が世界トップレベルであることを示しています。
日本代表への影響
| 時間帯 | オランダ中盤の優位性 | 日本代表への影響 |
|---|---|---|
| 前半0-30分 | 高い判断速度でパスを回す | 日本のプレスが空振り |
| 前半30-45分 | デ・ヨングのキャリーで前進 | 日本の守備ラインが下がる |
| 後半45-60分 | ラインデルスの飛び出し | マークが間に合わない |
| 後半60-90分 | 疲労した日本の判断速度が低下 | オランダの判断速度は維持 |
エリート選手の研究によると、試合終盤でも判断速度の低下が10%以下に抑えられます。
日本代表が後半に疲労で判断速度が落ちる中、オランダ中盤は依然として高速で判断を下し続けます。
理由④:若手(シモンズ、グラーフェンベルフ)との相乗効果
オランダ代表の中盤には、デ・ヨング(28歳)とラインデルス(27歳)という主力組に加えて、シャビ・シモンズ(22歳)とライアン・グラーフェンベルフ(23歳)という若手組がいます。
※シモンズ選手とグラーフェンベルフ選手の詳細な身体能力分析(スタミナと運動量、認知判断能力、アジリティ、ボールコントロール、ボール奪取能力など)については、別記事「シャビ・シモンズとライアン・フラーフェンベルフ アスレティックトレーナー視点での身体的評価分析」で詳しく解説しています。
世代間の相乗効果
| 世代 | 選手 | 体格 | 強み | 相乗効果 |
|---|---|---|---|---|
| 主力 | デ・ヨング、ラインデルス | 181-185cm | 経験、判断力、安定性、ボールキャリー、得点力 | 若手に時間とスペースを与える |
| 若手 | シモンズ、グラーフェンベルフ | 179-190cm | スピード、フレッシュさ、突破力、運動量 | 主力選手の判断を活かした攻撃 |
オランダ中盤4選手の役割分担
デ・ヨングとラインデルスが「土台」を作り、シモンズとグラーフェンベルフが「仕上げ」を担うという理想的な役割分担が成立しています:
- デ・ヨング(28歳、バルセロナ)
- 役割:ディープライイングプレーメーカー(深い位置からのゲーム構築)
- 身体能力:低重心バランス、プログレッシブキャリー230ヤード/試合
- 若手への貢献:中盤でボールを運び、シモンズ・グラーフェンベルフに良い位置でボールを供給
- ラインデルス(27歳、マンチェスター・シティ)
- 役割:ボックス・トゥ・ボックス(攻守両面で貢献)
- 身体能力:シュート技術、15ゴール/54試合、ラインブレイクパス47回
- 若手への貢献:守備で安定性を提供し、攻撃では追加の得点オプション
- シモンズ(22歳、トッテナム)
- 役割:攻撃的ミッドフィールダー
- 身体能力:圧倒的なスタミナ、高速認知判断、アジリティ
- 主力選手との連携:デ・ヨングからのボールを受け、最終ラインを崩す
- グラーフェンベルフ(23歳、リバプール)
- 役割:セントラルミッドフィールダー(万能型)
- 身体能力:190cm・83kgの体格、ボールコントロール、ボール奪取
- 主力選手との連携:ラインデルスと守備を分担、190cmの高さでフィジカル優位
日本代表にとっての脅威
- 前半0-45分: デ・ヨングとラインデルスが中盤を支配し、日本のプレスを無効化
- 後半45-60分: 疲労が見え始めた日本に対して、主力2人が継続して圧力をかける
- 後半60-90分: フレッシュなシモンズやグラーフェンベルフを投入し、スピードと運動量で日本の守備を崩壊させる
- 結果: 4人の中盤選手が時間帯によって役割を変えながら、90分間日本を圧倒し続ける
身体能力の補完関係
| 能力 | デ・ヨング | ラインデルス | シモンズ | グラーフェンベルフ |
|---|---|---|---|---|
| ボールキャリー | ◎ | ○ | ○ | ◎ |
| 得点力 | △ | ◎ | ○ | ○ |
| 守備力 | ○ | ◎ | △ | ◎ |
| スピード | ○ | ○ | ◎ | ○ |
| フィジカル | ○ | ○ | △ | ◎ |
| 運動量 | ○ | ◎ | ◎ | ○ |
この表が示すように、4人の中盤選手はお互いの弱点を補い合い、あらゆる局面で日本代表を上回る能力を持っています。
まとめ:オランダ中盤の驚異に日本はどう立ち向かうか
フレンキー・デ・ヨングとタイアニ・ラインデルスは、「低重心による卓越したバランス能力とボールキャリー」「爆発的なシュート技術と決定力」「世界最高峰の認知機能と判断速度」という3つの身体能力で、日本代表の中盤を圧倒する可能性が極めて高いです。
デ・ヨングの3つの武器
- 低重心によるバランス能力とボールキャリー
- パス成功率94.1%(2024-25ラ・リーガ)
- プログレッシブキャリー230ヤード/試合、9回/90分
- ドリブル成功率79.5%
- 世界最高峰のポゼッション能力
- バルセロナで培った技術とビジョン
- 低重心(181cm・74kg)とテクニックの組み合わせ
- 戦術的柔軟性
- ボランチ、センターバック、サイドバックをこなせる
- 試合中の戦術変更に対応
ラインデルスの3つの武器
- 爆発的なシュート技術と決定力
- 2024-25シーズンに15ゴール(セリエA最優秀MF)
- 77本のシュート(セリエAの非FW選手で最多)
- ミッドフィールダーでありながらフォワード並みの得点力
- 185cmの恵まれた体格とボックス侵入
- 空中戦、フィジカルコンタクトで優位
- ボックス・トゥ・ボックスの運動量
- 守備ラインを破る能力
- ラインブレイクパス47回(セリエA最多)
- 攻守両面で貢献できる
日本代表にとっての脅威
中盤での支配力
- デ・ヨングのボールキャリーにより、プレスが効かない
- ラインデルスの得点力により、守備が分散される
フィジカルとテクニックの両立
- 体格差でデュエルに勝ちやすい
- 低重心とテクニックでどんな対応も困難
認知機能と判断速度
- 判断時間250-260ミリ秒(エリートレベル)
- 試合終盤でも判断速度が維持される
若手との相乗効果
- シモンズ、グラーフェンベルフとの世代間連携
- 後半に投入されるフレッシュな若手
アスレティックトレーナーとしての見解
私がアスレティックトレーナーとして注目するのは、両選手の身体能力の高さだけでなく、その能力を90分間維持できる持久力と、若手との連携です。
日本代表が勝つためには、以下の戦略が考えられます:
- デ・ヨングへのボールを遮断
- 中盤でのパスコースを潰す
- ただし、デ・ヨングは受ける前に状況を把握しているため困難
- ラインデルスの飛び出しを予測
- ボックス侵入のタイミングを読む
- 守備ラインとの連携が鍵
- カウンターで裏を突く
- ポゼッションで勝負すると、デ・ヨングに支配される
- 縦に速い攻撃で裏を狙う
- シモンズへのパスコースを遮断
- 専門家が指摘する通り、シモンズへの供給を防ぐ
- ただし、その前にデ・ヨングとラインデルスを突破する必要がある
2026年ワールドカップのグループF 初戦、日本 vs オランダ。
この試合は、日本代表の中盤がどこまで世界トップレベルと渡り合えるかの試金石となるでしょう。
デ・ヨングとラインデルスという2人のワールドクラスのミッドフィールダー、そしてシモンズやグラーフェンベルフという若手タレントを相手に、日本代表がどのような戦いを見せるのか、アスレティックトレーナーとして、そしてサッカーファンとして、非常に楽しみです。
※オランダ代表中盤の若手組(シャビ・シモンズ選手、ライアン・グラーフェンベルフ選手)の詳細な身体能力分析については、こちらの記事もご覧ください:「シャビ・シモンズとライアン・フラーフェンベルフ アスレティックトレーナー視点での身体的評価分析」
2026年6月、北中米の地で、日本代表の新たな歴史が刻まれることを期待しています。
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執筆者情報
エビナ(Ebiちゃん)
- 日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)
- 健康運動指導士
- トレーナー歴8年(整形外科5年、大学トレーニングジム5年、少年サッカー2年、社会人ラグビー2年)
- 専門分野: アスレティックトレーニング、スポーツ科学、バイオメカニクス、運動生理学
ブログコンセプト: ウイスキー・ゲーム・スポーツ好きのアラサーパパブロガーのライフスタイルブログ。スポーツ記事では専門知識を活かした科学的で深い分析を提供しています。家族(妻、長女5歳、長男4歳)と共に、人生を楽しみながら情報発信中。
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参考情報・出典:
- UEFA – Frenkie de Jong Statistics
- ESPN – Frenkie de Jong Profile
- Manchester City – Tijjani Reijnders Profile
- Manchester City – City sign Netherlands midfielder Reijnders
- Sky Sports – Tijjani Reijnders transfer
- Total Football Analysis – Tijjani Reijnders Scout Report at Manchester City 2025/2026
- Breaking The Lines – Player Analysis: Frenkie de Jong
- WhoScored – Frenkie de Jong Statistics
- Frontiers in Psychology – Cognitive Functions and Sport-Specific Motor Skills in Elite Youth Soccer Players
- PMC – Decision-Making Time and Neuromuscular Coordination in Soccer Goalkeepers
- PMC – Soccer Scoring Techniques Biomechanics
- Frontiers – Shooting Precision Quantification
- Stats Perform – Identifying Progressive Ball Carriers
- StatsBomb – The Art of Progression: Passing vs. Ball Carrying
最終更新: 2025年12月26日
記事文字数: 約9,200文字
注意事項: この記事の分析は、執筆時点(2025年12月26日)での情報と専門知識、医学的・科学的エビデンスに基づいています。選手の成績やコンディションは今後変化する可能性があります。最新情報は公式発表をご確認ください。







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