2025年12月27日、サウジアラビア・リヤドで開催される「THE RING V: NIGHT OF THE SAMURAI(ナイト・オブ・ザ・サムライ)」。井上尚弥選手のメインイベントに注目が集まる中、もう一人の日本人世界王者が大きな挑戦に臨みます。元WBA・WBC世界フライ級統一王者の寺地拳四朗選手です。
2025年7月、横浜BUNTAIでリカルド・サンドバルに判定負けし、王座を失った寺地選手。
あの試合から約5ヶ月、33歳の「The Amazing Boy」は階級を上げ、
IBF世界スーパーフライ級王者ウィリバルド・ガルシアに挑戦します。
勝利すれば3階級制覇達成です。
データ通りの寺地選手であれば有利だと評価します。
圧倒的な手数とスタミナ、洗練された技術は健在です。
しかし、前回のサンドバル戦のような
後手に回るボクシングや被弾の多さが改善できなければ、勝利は難しいと考えています。
私の予想は、寺地選手の判定勝利確率60%です。
私は日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)として8年間、整形外科での臨床経験5年、大学トレーニングジムでの指導5年、社会人ラグビーチームでのサポート2年の経験があります。この記事では、前回の敗戦を分析し、両選手の身体能力を専門的に比較し、12月27日の試合展開を予想します。
THE RING V: NIGHT OF THE SAMURAI 試合基本情報
開催日時: 2025年12月27日(金)
会場: モハメド・アブド・アリーナ、リヤド、サウジアラビア
配信: Leminoで独占ライブ配信(日本)、DAZN(日本以外)
豪華カード全6試合
このイベントは、サウジアラビアと日本の国交樹立70周年を記念して開催される歴史的な大会です。
メインイベント:
- 井上尚弥 vs アラン・ピカソ(スーパーバンタム級4団体統一王者防衛戦)
サブメインイベント:
- 中谷潤人 vs セバスチャン・エルナンデス(スーパーバンタム級12回戦)
注目の前座カード:
- 堤駿斗 vs ジェームス・ディケンズ(WBAスーパーフェザー級暫定タイトルマッチ)
- 寺地拳四朗 vs ウィリバルド・ガルシア(IBFスーパーフライ級王座決定戦)
- 今永虎雅 vs アルマンド・マルティネス
- 堤麗斗 vs レオバルド・キンタナ
寺地拳四朗vsガルシア戦の位置づけ
この試合は、IBF世界スーパーフライ級王座決定戦です。
王者ウィリバルド・ガルシア(メキシコ)に、元WBA・WBC世界フライ級統一王者の寺地拳四朗が挑戦します。
寺地選手にとっては、2024年7月30日にリカルド・サンドバルに判定負けし王座を失って以来の再起戦であり、勝利すれば3階級制覇を達成する歴史的な一戦です。
両選手の基本データ比較
寺地拳四朗(てらじ けんしろう)- 挑戦者
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 生年月日 | 1992年1月6日 |
| 年齢 | 33歳(試合時) |
| 身長 | 164.5cm(5’5″) |
| リーチ | 164cm |
| 出身 | 京都府城陽市 |
| 所属 | B.M.Bボクシングジム |
| 戦績 | 27戦25勝(16KO)2敗 |
| KO率 | 58.3% |
| 世界戦経験 | 18戦16勝2敗 |
| 階級歴 | ライトフライ級→フライ級→スーパーフライ級 |
| スタイル | オーソドックス(ボクサーファイター) |
| ニックネーム | The Amazing Boy |
ウィリバルド・ガルシア・ペレス(Willibaldo Garcia Perez)- 王者
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 生年月日 | 1989年12月24日 |
| 年齢 | 35歳(試合時) |
| 身長 | 163cm(5’4″) |
| リーチ | 推定160-163cm程度 |
| 出身 | メキシコ・ゲレーロ州コパラ |
| 戦績 | 32戦23勝(13KO)6敗2分1無効試合 |
| KO率 | 40.6% |
| 世界戦経験 | IBF王者(初防衛戦) |
| 階級 | スーパーフライ級(52.2kg) |
| スタイル | メキシカンスタイル(プレッシャーファイター) |
物理的優位性の比較
| 項目 | 寺地拳四朗 | ウィリバルド・ガルシア | 有利な選手 |
|---|---|---|---|
| 年齢 | 33歳 | 35歳 | 寺地(-2歳) |
| 身長 | 164.5cm | 163cm | 寺地(+1.5cm) |
| リーチ | 164cm | 推定160-163cm | 寺地(やや有利) |
| KO率 | 58.3% | 40.6% | 寺地(+17.7%) |
| 経験(試合数) | 24試合 | 32試合 | ガルシア(+8試合) |
| 世界戦経験 | 18戦15勝2敗 | 初防衛戦 | 寺地 |
| 戦績の質 | 元2階級統一王者 | IBF王者 | 寺地 |
数字から見える真実:
寺地選手は身長とリーチでわずかに優位、年齢も2歳若く、KO率で17.7%上回ります。
最も重要なのは、世界戦での経験値です。
寺地選手は世界戦18戦15勝2敗の実績を持ち、2階級で統一王者を経験しています。
一方、ガルシアは2025年5月にレネ・カリストに僅差判定勝ちでIBF王座を獲得したばかりで、今回が初防衛戦です。
前回サンドバル戦の敗因分析:アスレティックトレーナーの視点から
2025年7月30日、横浜BUNTAIでの王座陥落。
1-2の判定負けという結果でしたが、内容は明確に寺地選手のペースではありませんでした。
アスレティックトレーナーとして、身体的な観点から敗因を分析します。
敗因1:先手を取られ続けた反応の遅れ
サンドバル戦で最も顕著だったのは、寺地選手が常に後手に回っていたことです。
身体的要因:
- サンドバルの予測不能な動きに対する反応が遅れた
- 通常の反応速度(130-160ms)が、相手のフェイント戦術で10-20%低下
- 神経系の判断処理に遅延が発生し、パンチを打つタイミングが後手に
改善点:
- 相手のフェイントや変則的な動きへの対応トレーニング
- 反応速度を維持するための神経系トレーニング強化
- 先手を取るための「予測」ではなく「読み」の精度向上
敗因2:被弾の増加とディフェンス精度の低下
いつもの寺地選手なら避けられるパンチを多く被弾しました。
身体的要因:
- サンドバルの変則的な攻撃パターンへの対応不足
- フットワークの精度が落ち、適切な距離を保てなかった
- 疲労による後半のガード位置の低下(筋持久力の限界)
改善点:
- 変則的な動きをする相手への対応力強化
- ディフェンスの基本動作の再確認
- 12ラウンド通してガード位置を維持する筋持久力トレーニング
敗因3:手数が出せなかった精神的プレッシャー
寺地選手の武器である手数が、この試合では十分に発揮されませんでした。
身体的・心理的要因:
- 相手を警戒しすぎて攻撃のタイミングが遅れた
- 被弾を恐れる心理が、攻撃への移行を鈍らせた
- ストレスホルモン(コルチゾール)の増加が判断力を低下させた可能性
改善点:
- 攻撃的なマインドセットの再構築
- プレッシャー下での判断力トレーニング
- 被弾を恐れず、先に手を出す勇気
今回のガルシア戦で改善すべきポイント
最重要課題:
- 先手を取る:後手に回らず、自分からペースを作る
- 被弾を減らす:ディフェンス精度を上げ、無駄な被弾を避ける
- 手数を出す:本来の寺地選手らしい、1ラウンド70-100発の攻撃
ガルシアはサンドバルほど変則的な動きをする選手ではありません。
メキシカンスタイルの前進型ファイターであり、動きは読みやすいはずです。
データ通りの寺地選手が戻ってくれば、勝利は十分に可能です。
JSPOアスレティックトレーナー視点での専門的分析
ここからは、アスレティックトレーナーとしての専門知識を総動員して
両選手の身体能力を詳しく分析していきます。
【専門分析①】寺地拳四朗の最大の武器:圧倒的な手数とスタミナ
寺地拳四朗選手の最大の特徴は、「12ラウンド通して衰えない手数」です。
これは単なる「頑張り」ではなく、身体能力に裏打ちされた科学的な強みです。
手数の多さの身体的基盤
寺地選手の手数の特徴:
- 1ラウンド平均70-100発の高密度攻撃
- プロボクサーの平均が50-60発であることを考えると、約1.5倍の手数
- この手数を12ラウンド維持できることが驚異的
- 累計で800-1200発という膨大なパンチ数
- 疲労しにくい身体の仕組み
- 有酸素性持久力が極めて高い
- 最大酸素摂取量(VO2max)が高いことを示唆
- マラソンランナーのような「バテにくい体」を持っている
- エネルギー効率の良さ
- 無駄な動きが少ない
- パンチ1発あたりのエネルギー消費が少ない
- ハイブリッドカーのように「燃費が良い」
スポーツ科学的エビデンス:
高い手数を維持するには、以下の身体機能が必要です:
①心肺機能(酸素供給能力):
- 心臓のポンプ機能が優れている→1回の拍動で多くの血液を送れる
- 肺の容量が大きい→たくさんの酸素を取り込める
- 例えるなら、大型エンジンを搭載した高性能車
②筋肉のタイプ(遅筋の優位性):
- 遅筋(持久系の筋肉)の割合が高い
- 疲労物質(乳酸)が溜まりにくい
- マラソンランナーのような「長く動き続けられる筋肉」
③エネルギー供給システム:
- 有酸素性エネルギーシステムが発達
- 筋肉内のミトコンドリア(エネルギー工場)が多い
- 効率的にエネルギーを生産し続けられる
寺地選手がガルシアより手数で優れている理由(エビデンス):
- 年齢: 33歳vs35歳、わずかに寺地が若い
- 実績: 過去の世界戦で常に高い手数を維持
- スタミナテスト: 12ラウンドを通してペースが落ちない実証済み
- 回復力: ラウンド間の1分間で心拍数が素早く低下
「休ませない」プレッシャーの効果
寺地選手の手数の多さは、相手に以下の累積ダメージを与えます:
- 身体的疲労の蓄積
- 常にパンチを受けるか避け続ける必要
- ガードを上げ続けることの腕の疲労
- スマホのバッテリーのように、徐々に消耗していく
- 精神的プレッシャー
- 休む暇がないことによるストレス
- 「いつ終わるのか」という不安
- 終わりの見えないマラソンを走らされる感覚
- 判定での優位性
- 手数の多さはジャッジに好印象
- 有効打が同じでも、手数で勝る選手が評価される
- 積極性を評価される
【専門分析②】寺地拳四朗のスピードと正確性:洗練されたテクニック
寺地選手は、単に手数が多いだけではありません。「速くて正確なパンチ」を打ち続けることができます。
パンチスピードの身体的基盤
寺地選手のスピードの特徴:
- ノーモーションのジャブ
- 予備動作がほとんどない
- 相手が反応する前に打ち終わる
- 神経系の伝達速度が極めて高い(推定反応時間:130-160ms)
- 高速コンビネーション
- 1秒間に3-4発のパンチを打てる
- ジャブ→ストレート→フックの流れが滑らか
- まるで機関銃のような連射速度
- フットワークの軽快さ
- バックステップやサイドステップが速い
- 一気に間合いを詰めるステップインも鋭い
- バスケットボール選手のような敏捷性
なぜ33歳でもスピードが維持されているのか?
通常、ボクサーは30歳を過ぎると反応速度が低下します。しかし、寺地選手が33歳でもスピードを維持できている理由:
- 科学的なトレーニング
- 神経系トレーニング(反応速度向上)
- プライオメトリクス(爆発力維持)
- 適切な休養と回復
- 低いダメージ蓄積
- キャリアで27戦しか試合をしていない(年平均2試合程度)
- ディフェンス技術が高く、被弾が少ない
- 「走行距離が少ない中古車」のように体がフレッシュ
- 体重管理の適切さ
- 階級を上げることで減量が楽になった
- 体への負担が減少
- パフォーマンス低下を最小限に
正確性:的中率の高さ
寺地選手の強みは、「打ったパンチがきちんと当たる」ことです。
正確性の身体的基盤:
- 動体視力の優秀さ
- 動く相手の位置を正確に捉える
- パンチの軌道を予測する
- 野球選手がボールの回転を見るような視力
- 距離感の精密さ
- 相手との距離を「ミリ単位」で感じ取れる
- パンチが届く距離と届かない距離を瞬時に判断
- 車の駐車をギリギリでできる人のような感覚
- 神経-筋協調性
- 脳の指令が筋肉に正確に伝わる
- 狙った場所に拳を届ける能力
- ダーツのブルズアイを狙う精密さ
寺地選手がガルシアより正確性で優れている理由(エビデンス):
- 世界戦18戦の経験: 様々なスタイルの相手に対応してきた
- ディフェンス技術: 被弾が少ないことは、相手のパンチを正確に見切っている証拠
- KO率58.3%: 的確にダメージを与えるパンチを打てる
【専門分析③】ウィリバルド・ガルシアの強みと弱点
ウィリバルド・ガルシア選手は、35歳のベテランで2025年5月にIBF王座を獲得した叩き上げのファイターです。
寺地選手が警戒すべき強みと、逆に攻略すべき弱点を分析します。
ガルシアの強み
強み1:メキシカンスタイルのタフネス
- 頑丈な体:ボディブローに強い
- 前進を止めない姿勢:プレッシャーをかけ続ける
- メンタルの強さ:逆境でも諦めない
強み2:経験とサバイバル能力
- プロ32戦の経験(寺地より8試合多い)
- 6敗2分という敗戦経験が、タフネスを育てた
- 負けを知っている選手の粘り強さ
強み3:ボディワークの技術
- ボディブローで相手のスタミナを削る戦略
- 接近戦での圧力
- 相撲の押し相撲のようなプレッシャー
ガルシアの弱点
弱点1:スピードとテクニックの不足
- 寺地選手のような高速コンビネーションは打てない
- ディフェンス技術が粗く、被弾が多い
- 「粗削りなファイター」という評価
弱点2:決定打の欠如
- KO率40.6%は寺地の58.3%より低い
- 一撃で倒す威力に欠ける
- 判定勝ちが多く、KOで仕留める能力に疑問
弱点3:年齢による身体機能の低下
- 35歳という年齢は、ボクサーとして衰えが出始める時期
- スタミナ、反応速度、パワーがピークから低下
- 特に後半(9〜12R)でスタミナ切れのリスク
弱点4:世界トップレベルとの経験不足
- 王座獲得戦の相手レネ・カリストは、スプリット判定での勝利
- 寺地選手のような元統一王者との対戦経験なし
- 「IBF王者の中でも技術的には劣る」という専門家の評価
寺地選手がガルシアを攻略する戦略:
- 手数とスピードで圧倒:ガルシアの反応速度を上回る高速攻撃
- 距離のコントロール:ガルシアの攻撃範囲外から正確なパンチを打つ
- 後半の追い込み:9〜12Rでスタミナ差が出たところで攻勢に出る
- ジャブの徹底:ノーモーションのジャブでペースを作る
【専門分析④】階級上げによる寺地選手の身体的変化
寺地選手は、フライ級(50.8kg)からスーパーフライ級(52.2kg)へ1.4kgの階級上げをしました。
この変化が身体能力にどう影響するかを分析します。
体重増加のメリット
メリット1:減量の負担軽減
フライ級では、試合前の減量が寺地選手にとって大きな負担でした:
- 以前(フライ級):試合2週間前から厳しい減量
- 食事制限のストレス
- 水分制限による体力低下
- 減量による疲労の蓄積
- 現在(スーパーフライ級):減量が楽になった
- 体への負担が少ない
- パフォーマンスが向上
- 試合当日にフレッシュな状態で臨める
メリット2:パワーの増加
1.4kgの体重増加は、わずかですがパンチ力の向上につながります:
- パンチの威力 = 質量(体重)× 速度²
- 体重が1.4kg増えれば、パンチの威力も約2-3%増加
- 累積ダメージとして効いてくる
メリット3:体の耐久性向上
- 筋肉量が増える→打たれ強さが向上
- 体のクッションが増える→ボディブローへの耐性
- より長時間、高いパフォーマンスを維持できる
デメリット(ほとんどない)
通常、階級を上げると以下のデメリットがありますが、寺地選手の場合はほとんど影響ありません:
- 相手が大きくなる?→今回の相手ガルシアは身長163cm、寺地より1.5cm低い
- スピードが落ちる?→1.4kgの差ではスピードへの影響は最小限
- パワー差?→ガルシアのKO率40.6%は寺地より低い
結論:階級上げは、寺地選手にとってほぼメリットしかない決断でした。
専門家とファンの勝敗予想
ボクシングトレーナー椎野大輝氏の分析
元プロボクサーでトレーナーの椎野大輝氏は、寺地選手の勝利を予想し、優位性を6.5:3.5と評価しています。
椎野氏の分析ポイント:
「ガルシアは身体的に強く、アグレッシブに戦うファイターだが、バランスが悪い。寺地選手の方が、ボクシングのレパートリーが広く、戦い方を変えられる柔軟性がある。後半のTKOまたは判定勝利を予想する。」
メキシコからの評価
ガルシアの母国メキシコからも、「ガルシアには厳しい戦いになる」という声が上がっています。
- 「寺地は元統一王者で、ガルシアとはレベルが違う」
- 「IBF王者の中でも、ガルシアは技術的に劣る」
- 「寺地の手数とスピードにどう対応するかが鍵」
ガルシア本人のコメント
ガルシアは、寺地選手の前戦(サンドバル戦)を分析し、以下のようにコメントしています:
「寺地は、相手が攻撃してくると必ず後ろに下がってからボクシングを始める。私なら彼をKOできると思う。」
分析:ガルシアは寺地選手の後退癖を指摘していますが、これは寺地選手の「打たせずに打つ」というディフェンス重視のスタイルです。ガルシアがこれを攻略できるかが焦点です。
一般ファンの予想
日本のボクシングファンの間では、寺地選手の勝利を予想する声が多数です:
寺地選手優位派の意見:
- 「元2階級統一王者の実力は本物。ガルシアでは相手にならない」
- 「手数とスピードで圧倒できる」
- 「世界戦15戦14勝の経験値が違う」
- 「3階級制覇を果たして、バム・ロドリゲスとの統一戦へ!」
ガルシア善戦・勝利予想派の意見:
- 「前戦のサンドバルに負けたばかり。メンタルが心配」
- 「33歳、階級を上げて体が適応しているか不安」
- 「メキシカンスタイルのタフネスは侮れない」
試合展開予想:寺地拳四朗が判定勝利
アスレティックトレーナーとして、両選手の身体能力を踏まえた試合展開を予想します。
予想される試合展開
前半(1〜4R):
- 両者慎重な出だし、距離を測り合う
- 寺地選手が先手を取り、ノーモーションのジャブで距離を支配する
- ガルシアがメキシカンスタイルで前進を試みる
- 寺地選手のジャブとストレートがガルシアの顔面にヒット
- 最重要ポイント:寺地選手が後手に回らず、自分からペースを作れるか
- スコア:3-1または4-0で寺地リード
中盤(5〜8R):
- 寺地選手の手数が増加、1ラウンド70-100発の高密度攻撃
- ガルシアが粘り強く前進を続ける
- 寺地選手がサイドステップとバックステップでガルシアの攻撃を回避
- 課題:寺地選手がサンドバル戦のように被弾が多くなると、ペースが崩れる可能性
- スコア:6-2または7-1で寺地リード
後半(9〜12R):
- ガルシアのスタミナが低下、動きが鈍くなる
- 寺地選手がプレッシャーを強化、手数で圧倒
- ガルシアもメキシカンスタイルのタフネスで最後まで前進
- 寺地選手が最終12Rまで高いペースを維持
- スコア:10-2または9-3で寺地
最終結果:寺地拳四朗の大差から中差の判定勝利
私の最終予想
寺地拳四朗選手の判定勝利、確率60%
勝利のための条件:
- 先手を取る:サンドバル戦の反省を活かし、後手に回らない
- 被弾を減らす:ディフェンス精度を上げ、無駄な被弾を避ける
- 手数を出す:本来の寺地選手らしい、1ラウンド70-100発の攻撃
懸念材料:
- 前回のサンドバル戦のような後手に回るボクシングが出た場合、苦戦する可能性
- 被弾が多くなると、ペースが崩れて判定が接戦になる
- メンタル面での不安(敗戦のトラウマを克服できているか)
なぜ判定勝利を予想するのか:
ガルシアはメキシカンスタイルのタフネスを持ち、12ラウンド戦い抜く可能性が高いです。
寺地選手の決定打不足(KO率58.3%も、最近はKO が減少傾向)を考えると、TKOよりも判定勝利の可能性が高いと見ています。
データ通りの寺地選手が戻ってくれば、手数とスピードで圧倒し、明確な判定勝利を収められます。
しかし、サンドバル戦のような後手に回るボクシングが出ると、番狂わせの可能性も出てきます。
この試合の鍵は、「寺地選手がどれだけ前回の敗戦を分析し、改善できているか」です。
観戦ポイント:12月27日に注目すべき5つのポイント
試合を観る際、以下に注目してください:
ポイント1:前半3ラウンドの手数
寺地選手が1ラウンド何発のパンチを打つか。
70発以上なら寺地ペース、50発以下ならガルシアがプレッシャーをかけられている証拠。
ポイント2:寺地選手のジャブの精度
寺地選手の武器である「ノーモーションのジャブ」が、ガルシアの顔面とボディにどれだけヒットするか。
このジャブが距離のコントロールを決定します。
ポイント3:ガルシアの前進力
メキシカンスタイルの特徴である「前進を止めない姿勢」が、寺地選手の手数に耐えられるか。
前進が止まった瞬間が、ガルシアのスタミナ切れのサインです。
ポイント4:中盤〜後半(6〜12R)のスタミナ差
35歳のガルシアが、33歳の寺地選手の高密度攻撃に後半どれだけ耐えられるか。ここが勝敗の分かれ目です。
スタミナ切れのサイン:
- 口呼吸が増える(鼻呼吸ができなくなる)
- ガードが下がる(腕を上げ続けるのがしんどい)
- フットワークが鈍る(足が動かなくなる)
- パンチの速度が落ちる(スピードが10-20%ダウン)
ポイント5:寺地選手のメンタル面
7月30日の敗戦から約5ヶ月。寺地選手が前戦のトラウマを克服し、自信を持って戦えているか。
表情、動きのキレ、積極性に注目。
試合後の展望:3階級制覇の先にあるもの
寺地選手が勝利すれば、3階級制覇を達成します。そして、その先には更なる挑戦が待っています。
バム・ロドリゲスとの統一戦の可能性
現在、スーパーフライ級にはジェシー・”バム”・ロドリゲス(米国)というP4Pランキング上位の絶対王者がいます。ロドリゲスはWBC・WBO・WBAの3団体統一王者で、2025年11月にフェルナンド・マルティネスを10ラウンドKOで破り、圧倒的な強さを誇っています。
寺地選手の発言:
「バム・ロドリゲスとの統一戦が夢です。まずはガルシアに勝って、IBF王座を獲得することが最優先。その先に、4団体統一王者への挑戦が見えてきます。」
ロドリゲスvs寺地の身体能力比較(仮想):
| 要素 | 寺地拳四朗 | バム・ロドリゲス | 優位性 |
|---|---|---|---|
| 年齢 | 33歳 | 25歳 | ロドリゲス |
| 手数 | ★★★★★ | ★★★★☆ | 寺地 |
| スピード | ★★★★☆ | ★★★★★ | ロドリゲス |
| パワー | ★★★★☆ | ★★★★★ | ロドリゲス |
| スタミナ | ★★★★★ | ★★★★★ | 互角 |
| 技術 | ★★★★★ | ★★★★★ | ロドリゲス |
| 経験 | ★★★★★ | ★★★★☆ | やや寺地 |
分析:ロドリゲスは25歳の若さとP4P上位の実力を持つ最強の敵です。寺地選手の手数と経験、ロドリゲスのスピードとパワーがぶつかり合う、夢の対決となるでしょう。
まとめ:33歳・涙のリベンジ戦士が挑む3階級制覇
2025年12月27日の寺地拳四朗vsウィリバルド・ガルシアのIBF世界スーパーフライ級王座決定戦。アスレティックトレーナーとして8年間、多くのアスリートを見てきた私の結論は、「寺地拳四朗選手の判定勝利、確率60%」です。
寺地拳四朗が有利な理由
- 圧倒的な手数とスタミナ:
- 1ラウンド70-100発を12ラウンド維持
- 有酸素性持久力が極めて高い
- 「休ませない」プレッシャーで相手を削る
- スピードとテクニック:
- ノーモーションのジャブ
- 高速コンビネーション
- 正確性の高いパンチ
- 世界戦18戦16勝2敗の経験:
- 元2階級統一王者の安定性
- 様々なスタイルの相手に対応してきた実績
- プレッシャー下でのパフォーマンス維持能力
- 階級上げのメリット:
- 減量の負担軽減
- パワーの増加
- 体の耐久性向上
- ガルシアの課題:
- 技術的に粗削り
- KO率40.6%、決定打に欠ける
- 35歳の年齢による身体機能低下
寺地選手の懸念材料
- 前回の敗戦の影響:サンドバル戦のような後手に回るボクシングが出ると苦戦
- 被弾の多さ:ディフェンス精度が落ちると、ペースが崩れる
- メンタル面:33歳での王座陥落のトラウマを克服できているか
- 階級上げの適応:スーパーフライ級での体の適応状況
観戦の楽しみ方
この試合は、「元2階級統一王者の33歳リベンジ戦士」が、「35歳メキシカンファイター」に挑む、世代とスタイルを超えた戦いです。寺地選手は、2025年7月30日の王座陥落から約5ヶ月。涙を流した敗戦を乗り越え、3階級制覇という新たな夢に挑みます。ガルシアは、叩き上げの実力で初防衛を目指します。
そして、この試合は「THE RING V: NIGHT OF THE SAMURAI」という歴史的イベントの一部です。
メインイベントの井上尚弥選手、サブメインの中谷潤人選手、堤駿斗選手と共に、日本人ボクサーがサウジアラビアで世界に挑む。この豪華なイベントを、ぜひLeminoで観戦してください。
私の予想:寺地拳四朗選手の判定勝利、確率60%
個人的には、寺地選手がサンドバル戦の反省を活かし
「The Amazing Boy」としての本来の姿を取り戻すことを期待しています。
先手を取り、被弾を減らし、圧倒的な手数で3階級制覇を達成する。
そして、その先にあるバム・ロドリゲスとの夢の統一戦へ。
12月27日、サウジアラビア・リヤドでの結果を楽しみに待ちましょう!
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執筆者情報
エビナ(Ebiちゃん)
- 日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)
- 健康運動指導士
- トレーナー歴8年(整形外科5年、大学トレーニングジム5年、社会人ラグビー2年)
- 専門分野: アスレティックトレーニング、リハビリテーション、機能解剖学、バイオメカニクス
ブログコンセプト: ウイスキー・ゲーム・スポーツ好きのアラサーパパブロガーのライフスタイルブログ。スポーツ記事では専門知識を活かした科学的で深い分析を提供しています。家族(妻、長女5歳、長男4歳)と共に、人生を楽しみながら情報発信中。
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注意事項: この記事の分析は、執筆時点(2025年12月8日)での情報と専門知識、最新のスポーツ科学研究に基づいています。試合結果や選手の状態は予想と異なる場合があります。
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