2026年3月15日、横浜BUNTAIで開催される「U-NEXT BOXING 5」のメインイベントとして、注目のWBAバンタム級挑戦者決定戦が行われます。日本バンタム級王者で”神の左”の継承者・増田陸選手(28歳・帝拳)が、世界5階級制覇のレジェンド・ノニト・ドネア選手(43歳・フィリピン)と激突。この試合の勝者は、WBA世界バンタム級王者・堤聖也選手(角海老宝石)への挑戦権を獲得するという、ボクシングファンなら見逃せない一戦です。
この試合は増田陸選手がやや有利だと評価します。
最大の根拠は「28歳 vs 43歳」という15歳の年齢差がもたらす身体能力の決定的な差です。
スポーツ科学の研究では、筋パワー(爆発力)、反応速度、スタミナ(持久力)のいずれもが30代以降に低下し始め、43歳ではピーク時から大幅に減少していることが報告されています。
ただし、ドネア選手は前回の堤聖也戦で年齢を感じさせないパワー、スピード、フットワークを見せており、ボクシングスキルと経験値では増田選手を大きく上回ります。
この試合は「どちらが先にパワーパンチを当てるか」が勝敗の鍵であり、早期決着もあり得る緊張感の高い一戦です。ラウンドを重ねるごとに増田選手が有利になると見て、私の予想は増田陸選手の勝利、確率60%です。
私は日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)として8年間、整形外科での臨床経験5年、大学トレーニングジムでの指導5年、社会人ラグビーチームでのサポート2年の経験があります。この記事では、両選手の身体能力をスポーツ科学のエビデンスに基づいて分析し、3月15日の試合展開を予想します。
WBAバンタム級挑戦者決定戦 試合基本情報
開催日時: 2026年3月15日(日)
会場: 横浜BUNTAI(神奈川県横浜市)
タイトル: WBA世界バンタム級挑戦者決定戦 10回戦
配信: U-NEXT
イベント名: U-NEXT BOXING 5
この試合の位置づけ
驚くべきことに、この挑戦者決定戦は同日開催のトリプル世界戦を差し置いてメインイベントに据えられています。
それほど増田陸 vs ドネアというカードの注目度と集客力が高いということです。勝者はWBA世界バンタム級王者・堤聖也選手への挑戦権を獲得します。増田選手にとっては、2023年8月に堤聖也選手に判定で敗れたリベンジへの道を切り開く重要な一戦です。
同日開催のトリプル世界戦
- WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ: ノックアウト・CPフレッシュマート(王者) vs 岩田翔吉(挑戦者)
- WBO世界フライ級タイトルマッチ: アンソニー・オラスクアガ(王者) vs 飯村樹輝弥(挑戦者)
- WBA世界ミニマム級タイトルマッチ: 松本流星(王者) vs 高田勇仁(挑戦者)
両選手の基本データ比較
増田陸(ますだ りく)- WBA世界バンタム級4位
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 生年月日 | 1997年9月23日 |
| 年齢 | 28歳(試合時) |
| 身長 | 169cm |
| リーチ | 175cm |
| 出身 | 広島県広島市 |
| 所属 | 帝拳ボクシングジム |
| 戦績 | 10戦9勝(8KO)1敗 |
| KO率 | 88.9%(勝利のうち) |
| 階級 | バンタム級(53.52kg) |
| スタイル | サウスポー |
| 世界ランキング | WBA4位、WBC6位、IBF4位、WBO6位 |
| アマチュア戦績 | 66戦52勝14敗(立教大学ボクシング部主将) |
| 異名 | “神の左”の継承者 |
ノニト・ドネア(Nonito “The Filipino Flash” Donaire)- WBA世界バンタム級1位
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 生年月日 | 1982年11月16日 |
| 年齢 | 43歳(試合時) |
| 身長 | 170cm |
| リーチ | 174cm |
| 出身 | フィリピン・ボホール州タリボン |
| 現在の拠点 | アメリカ・カリフォルニア州サンリアンドロ |
| 戦績 | 43勝(28KO)9敗 |
| KO率 | 65.1%(勝利のうち) |
| 階級 | バンタム級(53.52kg) |
| スタイル | オーソドックス |
| 主な実績 | 世界5階級制覇、WBAバンタム級元暫定王者 |
| 異名 | “フィリピンの閃光(Filipino Flash)” |
| 前戦 | 2025年12月17日 堤聖也に2-1判定負け |
物理的優位性の比較
| 項目 | 増田陸 | ノニト・ドネア | 有利な選手 |
|---|---|---|---|
| 年齢 | 28歳 | 43歳 | 増田(-15歳) |
| 身長 | 169cm | 170cm | ほぼ互角 |
| リーチ | 175cm | 174cm | ほぼ互角 |
| KO率 | 88.9% | 65.1% | 増田(+23.8%) |
| 経験(試合数) | 10試合 | 52試合 | ドネア(+42試合) |
| 世界戦経験 | なし | 5階級制覇 | ドネア |
| 直近の勢い | 堤戦以降5連勝(4KO) | 堤に判定負け | 増田 |
| スタイル | サウスポー | オーソドックス | 増田(サウスポーの優位性) |
数字から見える真実:
この試合の最大の特徴は、身長・リーチがほぼ互角であるという点です。
増田選手169cm・リーチ175cm、ドネア選手170cm・リーチ174cm。体格差はほとんどありません。
では、何が勝敗を分けるのか。 大きく分けて2つの要素があります。
1つ目は「15歳の年齢差がもたらす身体能力の差」。28歳の増田選手はまさに身体能力のピーク期にあります。
2つ目は「ドネア選手のボクシングスキルと52戦の経験値」。世界5階級制覇のレジェンドが持つ技術と駆け引きの引き出しは、プロ10戦の増田選手を圧倒的に上回ります。2025年12月の堤聖也戦でも、前半は年齢を感じさせないパワーとスピードで世界王者を追い込みました。後半に失速しスプリット判定で敗れましたが、その前半の爆発力は健在であることを証明しています。
増田陸の実力分析:”神の左”の継承者
87秒KO勝利の衝撃
増田選手の実力を語る上で欠かせないのが、2025年6月8日の有明コロシアムでの一戦です。
WBA世界バンタム級11位のミシェル・バンケス(ベネズエラ)を相手に、わずか87秒・ワンパンチKO勝利を収めました。左ストレート一閃。世界ランカーが一瞬で崩れ落ちたこのシーンは、中谷潤人選手の前座でありながら、メインイベントを食うほどのインパクトを残しました。
試合後、増田選手は「ボディで倒すというのをプランとして考えていた。まず上を意識させてその後下でっていう作戦があったんですけど、その上が当たった」と冷静に語っています。この冷徹な試合分析力も増田選手の大きな武器です。
堤聖也戦からの成長
増田陸と堤聖也の対戦は2023年8月30日、モンスタートーナメント準決勝として行われました。
結果は10回0-3判定で堤選手の勝利。増田選手のキャリア唯一の敗戦です。
増田選手はこの試合について「後半にペースを取られて結果は負けましたけど『やれることは全てやったな』という感じでした。堤選手が予想以上に強かったので越えることはできなかった」と振り返っています。この敗戦後、増田選手は頭を丸め、「世界チャンピオンになること」を目標に定めてボクシングに全てを捧げる覚悟を決めました。
そこからの増田選手の成長は凄まじく、堤戦以降は5連勝(4KO)。
日本バンタム級王座を獲得し、2度の防衛を果たした上で、世界ランキングをWBA4位まで上げてきました。
特にKO率は勝利のうち88.9%と驚異的な数値です。
増田陸のドネア戦への意気込み
ドネア戦の決定に際して、増田選手は「誰もが認めるレジェンドボクサー。まさか自分が試合をするとは想像もつかなかったので感慨深い」と語り、帝拳ジムの本田明彦会長から電話で対戦を伝えられた際には「即答というか、二つ返事で『やらせてください』と答えた」とのことです。
ドネアの実力分析:43歳レジェンドの現在地
世界5階級制覇の偉業
ノニト・ドネアは2001年のプロデビュー以来、フライ級からフェザー級まで5つの階級で世界王座を獲得した正真正銘のレジェンドです。通算9つの世界タイトルを保持し、2012年にはBWAA年間最優秀選手に選出、The Ring誌パウンド・フォー・パウンド3位にランクされた実績を持ちます。「フィリピンの閃光」の異名通り、左フックの破壊力は世界中のボクシングファンを魅了してきました。
2025年12月 堤聖也戦の分析
ドネアの直近の試合は、2025年12月17日の堤聖也とのWBAバンタム級王座統一戦です。
結果は2-1スプリット判定負け(117-111、115-113で堤、112-116でドネア)。
注目すべきは試合内容です。前半はドネアが優勢に試合を進めました。
4回終盤には右アッパーと左フックで堤選手を大きく揺さぶり、KO寸前まで追い込んでいます。
しかし、5回以降は堤選手が立て直し、6回から9回にかけて堤選手がジャブとコンビネーションで試合をコントロール。後半にドネアのプレッシャーが弱まり、最終的に逆転を許すという展開でした。
正直に言って、43歳のドネアが前半で世界王者を追い込んだパワー、スピード、フットワークは「年齢を感じさせない」としか言いようがありません。あの左フックが当たれば、誰でも倒れます。ボクシングのスキルと経験値に関しては、増田選手よりもドネア選手が明確に上であることを、この堤戦は改めて証明しました。一方で、後半にプレッシャーが弱まった点については、アスレティックトレーナーの視点から見ると年齢による体力面の影響が出ていると分析します。
ドネアの強みと課題
強み:
- 左フックの破壊力:世界5階級制覇を支えた最大の武器は健在
- 25年のプロキャリアで培った経験と技術:あらゆる局面に対応できる引き出しの多さ
- 大舞台での精神力:世界タイトルマッチを何度も戦い抜いたメンタルの強さ
- タイミングの天才性:カウンターパンチの精度は年齢を重ねても卓越
課題:
- 43歳という年齢:身体能力の低下は避けられない
- 堤戦での後半失速:12ラウンドのスタミナに不安
- 3ヶ月での連戦:2025年12月の堤戦から約3ヶ月での再戦はコンディション面で懸念
- サウスポーへの対応:増田選手のサウスポースタイルへの適応が必要
JSPOアスレティックトレーナー視点での専門的分析
ここからは、アスレティックトレーナーとしての専門知識を活用し、両選手の身体能力をスポーツ科学のエビデンスに基づいて分析します。増田選手がドネア選手に対して身体能力面で何が優れているのか、ロジカルに解説していきます。
【専門分析①】28歳 vs 43歳:15歳の年齢差がもたらす身体能力の決定的な差
この試合の最大の焦点は、15歳の年齢差です。体格がほぼ互角である以上、勝敗を分けるのは「身体能力の差」になります。スポーツ科学のエビデンスに基づいて、年齢が身体能力にどのような影響を与えるかを分析します。
エビデンス①:筋パワー(爆発力)のピークは25〜35歳、以降は低下する
PMC(PubMed Central)に掲載された研究「The aging of elite male athletes」では、エリート男性アスリートの筋パワー(爆発力)は25〜35歳にピークを迎え、その後は加齢とともに低下することが報告されています。
特に、速筋線維(Type II線維)は加齢に伴い数と機能が減少し、これがパワー出力の低下に直結します。
増田選手(28歳)はまさにピーク期の真っ只中にあります。
一方、ドネア選手(43歳)はピークから約8〜13年が経過しており、速筋線維の減少による爆発力の低下は避けられません。
具体的な影響:
- パンチの初速(ハンドスピード):増田選手が有利
- パンチのインパクト力:同じ技術レベルなら増田選手が有利
- 踏み込みの爆発力:増田選手が明確に有利
エビデンス②:反応速度は20代がピーク、40代では8〜15%低下
スポーツ科学の研究では、反応速度(Reaction Time)は20代にピークを迎え、30代以降は徐々に低下することが報告されています。反応速度とは、視覚や聴覚などの刺激を受けてから身体が動き出すまでの時間を指します。
ボクシングにおいて、反応速度は以下の場面で決定的な差を生みます:
- パンチの回避:相手のパンチを見てから避けるまでの時間
- カウンターパンチ:相手の攻撃に合わせてパンチを返す精度
- ディフェンス全般:ガード、パリング、スリッピングの速度
28歳の増田選手と43歳のドネア選手では、反応速度に推定8〜15%の差が生じている可能性があります。これはミリ秒単位の差ですが、ボクシングという競技ではこのわずかな差がクリーンヒットの有無を左右します。
エビデンス③:スタミナ(持久力)は30歳以降、10年ごとに約10%低下する
運動生理学の研究では、身体が酸素を取り込んでエネルギーに変える能力(スタミナの土台)は、30歳以降10年ごとに約10%低下することが報告されています。継続的にトレーニングを行うアスリートでも、この低下を半分(10年あたり約5%)に抑えるのが限界とされています。
さらに、PubMedに掲載された研究では、ボクシングにおけるエネルギー供給の73〜86%は持久力系のエネルギーが担っていることが示されています(Davis et al.)。つまりボクシングは、見た目以上に「スタミナ勝負」のスポーツなのです。
増田選手のスタミナ:28歳のエリートボクサーはスタミナ面で最も充実した時期にあります。ラウンドを重ねても手数が落ちず、ラウンド間の1分間のインターバルで効率的に回復できるのが若さの強みです。
ドネア選手のスタミナ:43歳のアスリートの場合、ピーク時からスタミナが約15〜20%低下していると推定されます。後半ラウンドでパンチのスピードが落ち、ラウンド間に十分な回復ができなくなるリスクがあります。
実戦での裏付け:堤聖也戦でドネア選手が後半に失速した事実は、このスタミナの低下と一致しています。前半4ラウンドでは圧倒的なパフォーマンスを見せたドネア選手が、後半に明らかにプレッシャーを維持できなくなった。ラウンドを重ねるごとに回復が追いつかなくなった結果だと考えられます。
結論:28歳 vs 43歳の年齢差は、筋パワー、反応速度、スタミナの3つの指標すべてにおいて増田選手に優位性をもたらします。特にスタミナの差は、ラウンドを重ねるごとに顕著になると予想されます。ただし、ドネア選手の前半のパワーとスピードは堤戦でも証明済みであり、序盤は決して油断できない相手です。
【専門分析②】増田陸の”神の左”のバイオメカニクス的優位性
増田選手の最大の武器は、帝拳ジムの先輩・山中慎介氏から受け継いだ”神の左”、すなわち左ストレートです。
サウスポーの左ストレートがなぜ破壊力を持つのか、バイオメカニクスの視点から解説します。
エビデンス④:リアクロス(奥手のストレート)はリードジャブより大きな力と加速度を生む
Frontiers in Physiology(2022年)に掲載された研究では、リアクロス(奥手のストレート)はリードジャブと比較して、より大きな力と加速度を生成することが示されています。これはサウスポーの増田選手にとって重要な意味を持ちます。
サウスポーの左ストレートは「リアクロス(奥手のストレート)」に分類されます。つまり、サウスポーの利き手である左手から放たれるストレートは、構造的にジャブよりも大きなパンチ力を生み出します。
“神の左”を打つ際の爆発的な瞬発力
MDPI Applied Sciences(2025年)の研究では、パンチの力は「床 → 足 → 腰 → 肩 → 腕 → 拳」と全身の力が連鎖的に伝わることで生まれるとされています。増田選手の”神の左”は、この力の連鎖が爆発的に機能するパンチです:
- 右足(前足)で地面を強く蹴り、左足(後ろ足)への体重移動で全身の力をパンチに乗せる
- 腰を大きく回転させることで、体重以上の破壊力を拳に凝縮する
- 利き手の左で放つため、最も力強く、最も正確なパンチになる
増田選手の87秒KO勝利は、この全身の連鎖が完璧に機能した結果です。地面を蹴る力、腰の回転、そして”神の左”の精度が一つに融合し、世界ランカーを一撃で沈めました。28歳の瞬発力がこの連鎖をさらに加速させており、パンチが「見えない速さ」で相手に届くのです。
オーソドックスのドネアに対するサウスポーの構造的優位性
サウスポー(増田)vs オーソドックス(ドネア)の対戦では、増田選手の左ストレートはドネア選手のガードの外側から飛んでくる角度になります。オーソドックスの選手にとって、この角度からの攻撃は視認しづらく、反応が遅れやすいという構造的な特徴があります。
結論:増田選手の”神の左”は、バイオメカニクス的に最も大きなパンチ力を生み出す「リアクロス」であり、かつドネア選手のオーソドックスの構えに対して角度的に優位性を持っています。28歳の筋パワーと反応速度で放たれるこの一撃は、43歳のドネア選手にとって最大の脅威です。
【専門分析③】ドネア選手の身体能力における懸念:3ヶ月での連戦リスク
アスレティックトレーナーとして見逃せないのが、ドネア選手のコンディショニング面のリスクです。
堤戦からわずか3ヶ月での再戦
ドネア選手は2025年12月17日に堤聖也選手と12ラウンドの激闘を戦い、2026年3月15日に増田選手と対戦します。
その間隔はわずか約3ヶ月です。
スポーツ医学の観点から、43歳のアスリートが12ラウンドの世界戦のダメージから完全に回復するには、若い選手よりも長い時間を要します。 加齢に伴い、サテライト細胞(筋肉の修復を担う細胞)の増殖能力は低下し、トレーニングに対する筋線維の修復・適応能力が若い頃と比べて減少していることがPMCの研究で報告されています。
具体的には:
- 微細な筋損傷の回復:若い選手の2〜3倍の時間を要する可能性
- 神経系の疲労回復:反応速度の完全回復に時間がかかる
- 関節・腱の回復:12ラウンドの衝撃による組織へのストレスからの回復が遅延
堤戦で後半に失速し、顔面への被弾も多かったドネア選手が、3ヶ月で完全なコンディションに戻せるかは大きな疑問符がつきます。
結論:43歳での3ヶ月間隔の連戦は、コンディショニングの観点から明確なリスク要因です。増田選手の28歳の回復力と比較すると、試合開始時点でのフィジカルコンディションに差が生じている可能性があります。
試合展開シナリオ予想と最終予想
アスレティックトレーナーとして、両選手の身体能力を踏まえた試合展開を予想します。
この試合の鍵:「どちらが先にパワーパンチを当てるか」
この試合を予想する上で最も重要なポイントは、「どちらが先にパワーパンチを当てるか」です。
増田選手の”神の左”もドネア選手の左フックも、一発で試合を終わらせる破壊力があります。
つまり、早期決着も十分にあり得る緊張感の高い一戦です。
そして、ラウンドを重ねるごとに増田選手が有利になるという構図が、この試合のもう一つの大きな要素です。
予想される試合展開
前半(1〜4R)- 最も緊張感の高い時間帯:
- 増田選手がサウスポーの構えで距離を測り、右ジャブと左ストレートで主導権を握りにいく
- ドネア選手は豊富な経験とボクシングスキルを活かし、右ジャブから必殺の左フックで増田選手の出足を止めにかかる
- この時間帯が最も危険。 ドネア選手の前半のパワー、スピード、フットワークは堤戦でも証明済みで、年齢を感じさせない破壊力がある。当たれば増田選手も倒れる
- 一方、増田選手の”神の左”が序盤に炸裂すれば、87秒KOの再現もあり得る
- 互いの一発が怖い、手に汗握る展開
中盤(5〜8R)- ラウンドを重ねるごとに増田有利に:
- 増田選手の28歳の身体能力が差を生み始める
- ドネア選手はスキルと経験で巧みに凌ぐが、踏み込みの鋭さとパンチのスピードがわずかに低下し始める
- 増田選手がジャブの手数を増やし、左ストレートをボディと顔面に散らし始める
- 7〜8Rで増田選手のボディショットが効き始め、ドネア選手のガードが下がる場面が出てくる
後半(9〜10R)- スタミナ差が決定的に:
- ドネア選手のスタミナ低下により、ラウンド間の回復が追いつかなくなる
- 増田選手がプレッシャーを強化し、”神の左”を含むコンビネーションで攻勢に出る
- 9〜10Rで増田選手の左ストレートがクリーンヒット、KOまたはレフェリーストップ
私の最終予想
増田陸選手の勝利、確率60%
| シナリオ | 確率 | 内容 |
|---|---|---|
| 増田KO勝利(5〜10R) | 30% | 後半の体力差を活かしてKO |
| 増田KO勝利(1〜4R) | 10% | “神の左”が序盤に炸裂し早期決着 |
| 増田判定勝利 | 20% | 手数とスピードでポイント差の判定 |
| ドネアKO勝利(1〜4R) | 20% | 前半に左フックの一発でKO。当たれば増田も危ない |
| ドネア判定勝利 | 10% | スキルと経験で僅差の判定をもぎ取る |
| ドネアKO勝利(5R以降) | 5% | 経験値を活かした一発逆転 |
| 引き分け | 5% | 拮抗した展開でドロー |
この試合の核心:
この試合の最大の鍵は「どちらが先にパワーパンチを当てるか」です。
増田選手の”神の左”もドネア選手の左フックも、一発で試合を終わらせる威力があります。
ドネア選手の前半のパワーとスピードは堤戦で証明済みであり、左フックの一発は43歳になった今でも試合を終わらせる破壊力を持っています。当たれば増田選手も危ない。
しかし、ラウンドを重ねるごとに増田選手が有利になるのは間違いありません。5R以降、年齢差による体力の差が顕在化し、増田選手の”神の左”がドネア選手を捉える確率は格段に上がります。早期決着か、後半の体力勝負か。いずれにしても、目が離せない一戦になることは間違いありません。
観戦ポイント:3月15日に注目すべき5つのポイント
ポイント1:前半4ラウンドのドネアの攻撃力
43歳のドネアが、どれほどのパンチ力とスピードを維持しているか。堤戦で前半に王者を追い込んだ力が、3ヶ月後にも健在かどうかが最初の注目ポイントです。
ポイント2:増田の”神の左”のタイミング
増田選手の最大の武器である左ストレートが、どのタイミングでドネア選手を捉えるか。87秒KO勝利で見せた「ドンピシャ」のタイミングが再び炸裂するか注目です。
ポイント3:5R以降のスタミナ差
スタミナの差が顕在化し始める中盤以降。ドネア選手の動きに変化が出るか、それとも10ラウンドを最後まで高いレベルで戦い抜くか。ここが勝敗の最大の分岐点です。
ポイント4:サウスポー vs オーソドックスの角度の攻防
増田選手(サウスポー)の左ストレートがドネア選手(オーソドックス)のガードの外側から飛んでくる角度をどう処理するか。ドネア選手の長い経験がこの構図でどう活きるかも注目です。
ポイント5:堤聖也への挑戦権を懸けたモチベーション
増田選手にとって、この試合は堤聖也選手へのリベンジマッチへの切符を懸けた一戦です。増田陸と堤聖也の再戦を望むファンの期待を背負って戦う増田選手のモチベーションにも注目してください。
まとめ:28歳の”神の左” vs 43歳のレジェンドの意地
2026年3月15日のWBAバンタム級挑戦者決定戦、増田陸 vs ノニト・ドネア。アスレティックトレーナーとして8年間、多くのアスリートを見てきた私の結論は、「増田陸選手の勝利、確率60%」です。
増田陸が有利な理由
- 年齢差(28歳 vs 43歳):筋パワー、反応速度、スタミナのすべてで増田選手が優位
- KO率88.9%の決定力:”神の左”を軸としたワンパンチKO能力
- サウスポーの構造的優位性:ドネアのオーソドックスに対して角度的に有利
- 堤戦以降5連勝の勢い:成長著しい28歳の勢い
- ドネアの連戦リスク:堤戦から3ヶ月での再戦はコンディション面で懸念
ドネアが勝つ可能性(決して低くない)
- 左フックの一発:43歳でも試合を終わらせる破壊力は健在。当たれば増田選手も危ない
- ボクシングスキルと経験値の圧倒的な差:52戦のプロ経験、5階級制覇の技術。あらゆる局面を知り尽くしている
- 年齢を感じさせないパワーとスピード:堤戦の前半で証明した、43歳とは思えないフットワークとパンチのキレ
- 大舞台での精神力:世界タイトルマッチを何度も戦い抜いたメンタルの強さ
増田陸 堤聖也への道
この試合に勝利すれば、増田選手にはWBA世界バンタム級王者・堤聖也選手への挑戦権が待っています。
2023年8月の敗戦から約3年、増田選手がどこまで成長したかを堤選手に証明するチャンスです。
「一度負けている選手。リベンジしたいという気持ちがある」と語る増田選手の覚悟に、私も1人のボクシングファンとして胸が熱くなります。
だからこそ、この試合は面白い。
28歳のピークにある”神の左”の継承者が、43歳の世界5階級制覇レジェンドを超えられるか。
どちらが先にパワーパンチを当てるか。早期決着か、後半のスタミナ勝負か。
そしてその先に待つ堤聖也への挑戦権。ボクシングのロマンが詰まった一戦です。
3月15日、横浜BUNTAIでお見逃しなく。
私の予想:増田陸選手の勝利、確率60%
個人的には、先日の息子と一緒に観た堤聖也 vs ドネア戦で「ドネアかっこいい!」と目を輝かせていた4歳の長男が、今度は増田選手の”神の左”にどんな反応をするのか、そちらも楽しみにしています。
執筆者情報
執筆者情報
エビナ(Ebiちゃん)
- 日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)
- 健康運動指導士
- トレーナー歴8年(整形外科5年、大学トレーニングジム5年、社会人ラグビー2年)
- 専門分野: アスレティックトレーニング、スポーツ科学、バイオメカニクス、運動生理学
ブログコンセプト: ウイスキー・ゲーム・スポーツ好きのアラサーパパブロガーのライフスタイルブログ。スポーツ記事では専門知識を活かした科学的で深い分析を提供しています。家族(妻、長女5歳、長男4歳)と共に、人生を楽しみながら情報発信中。
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注意事項: この記事の分析は、執筆時点(2026年2月13日)での情報と専門知識、最新のスポーツ科学研究に基づいています。試合結果や選手の状態は予想と異なる場合があります。
参考文献:
- The aging of elite male athletes: age-related changes in performance and skeletal muscle structure and function (PMC, 2014)
- VO2 Requirements of Boxing Exercises (Davis et al., PubMed, 2011)
- Aerobic Capacity is Correlated with the Ranking of Boxers (PubMed, 2014)
- Energy System Contributions during Olympic Combat Sports: A Narrative Review (PMC, 2023)
- Biomechanics of Punching—The Impact of Effective Mass and Force Transfer on Strike Performance (MDPI Applied Sciences, 2025)
- Biomechanics of the lead straight punch and related indexes (Frontiers in Physiology, 2022)
- Metabolic and Physiological Demands of 3×3-min-round Boxing Fights (PubMed, 2022)
- Effects of high-intensity interval training on aerobic and anaerobic capacity in olympic combat sports (Frontiers in Physiology, 2025)




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