カネロ・アルバレス、消極的なスカルに判定勝利—9月クロフォード戦が正式決定

カネロ・アルバレス(右側、赤髪の男性)とテレンス・クロフォード(左側、編み込みヘアスタイルの男性)が対面している画像。背景は黒く、青と赤の光の効果があり、上部に「9月12日 決定!」と赤い大きな文字で書かれています。右上にDAZNのロゴが表示されています。 スポーツ
歴史的一戦が遂に実現!サウル"カネロ"アルバレス(右)とテレンス"バッド"クロフォード(左)が9月12日に対戦することが決定。
スポンサーリンク

完全統一王者に返り咲いたカネロ、次なる相手はクロフォード

2025年5月4日、サウジアラビア・リヤドのANBアリーナで行われたスーパーミドル級4団体統一戦。
サウル”カネロ”アルバレス(63勝2敗2分37KO)がウィリアム・スカル(23勝1敗9KO)に対して全会一致の判定勝利を収め、自身2度目となるスーパーミドル級完全統一王者の座に返り咲きました。

試合は115-113、116-112、119-109のスコアで、カネロの完全勝利。
これにより、9月12日に予定されているテレンス・クロフォードとの夢の対決への道が正式に開かれました。

「社交ダンス」と揶揄された腹立たしい12ラウンド

期待されたタイトル戦でしたが、蓋を開けてみれば「まるで12ラウンドに渡る社交ダンスのよう」と海外メディアに揶揄されるほど静かな展開となりました。正直に言って、見ていて腹立たしい試合内容でした。

試合全体を通じて両者合計のパンチ放出数はわずか445発。
12回戦の世界戦としては記録的に低い数字で、大きな盛り上がりに欠ける内容となりました。ボクシングはパンチを避けるスポーツではなく相手に当てるスポーツなのに、パンチを出さない展開にはがっかりさせられました。

序盤は互いに間合いを探る慎重な立ち上がり。挑戦者スカルは終始リングを大きく使い、機動力を活かした徹底的なアウトボクシングを展開します。多くのパンチを放ちましたが、ほとんどヒットせず、効果的な攻撃には至りませんでした。捉えきれないカネロにも問題はありましたが、スカルの消極性はさらに最悪でした。

対するカネロは焦らず圧力をかけながら、時折強烈なボディブローを的確に叩き込む作戦。しかしスカルは最後までサークリングとクリンチを多用して徹底的に被弾を避け、両者とも大きなダメージシーンのないまま判定に委ねられました。
前日のタイムズスクエア興行に続く残念な内容で、真剣勝負を期待するボクシングファンには苦々しい結果となりました。

カネロの勝因とスカルの敗因

カネロの勝因は、焦らず圧力をかけ続けた忍耐強い試合運びにあります。
的確なボディブローでスカルの動きを制限し、リング中央に追い込む優れたフットワークを見せました。
また、少ないながらも計算されたパンチ精度の高さと、経験に基づいた試合コントロール能力が光りました。

一方のスカルは、サークリングとクリンチを多用した消極的な戦法が敗因となりました。
確かに多くのパンチを放ちましたが、ほとんどヒットせず、勝利よりも12ラウンド持ちこたえることに重点を置いた印象です。体力温存型の試合運びが裁定に悪影響を与え、攻撃的な場面が少なく決定打を欠いた点が評価を下げました。

「退屈」「期待外れ」と厳しい海外メディアの反応

世界注目の一戦でしたが、試合内容には失望の声が多く、アクション不足が各所で指摘されました。
主要な海外メディアも概ね厳しい評価を下しています。

ESPNは試合を「忘れられる試合(forgettable fight)」と評し、機動力に優れたスカルに対してカネロが決定打を当てられず苦戦したと伝えています。判定勝ちはしたものの「目立った見せ場を作れなかった」という内容です。

BoxingSceneは辛辣な論評で、「12ラウンドにわたる立派なダンスだった」と皮肉り、「チェスの試合の方が流血するくらいだ」と低調な展開を揶揄しました。

DAZNニュースは「ロウアクションな内容でお世辞にも美しい試合ではなかったが、アルバレスは危なげなく判定勝利を収めた」と総括しています。

AP通信など他のメディアやファンからも「期待外れ」「退屈」といった評価が相次ぎました。
一方で「スカルの消極的な戦法にも原因がある」として、相手が勝負に来なかったことを指摘する声も見られます。

カネロ本人の不満と次戦への意気込み

試合後のカネロは、スカルの戦い方に対する不満を隠しませんでした。

「スカルは自分が想定していた以上によく動いた」と振り返りつつも、「生き延びるだけの相手は好きじゃない。12ラウンド持ちこたえることだけが目的の相手だと退屈な試合になる」と語り、消極的な相手との試合に苛立ちを見せました。

そして9月のクロフォード戦については「9月は違うタイプの戦いになることを望む」と期待感を示し、「クロフォードは今のボクシング界で最高の一人。そういう相手とリングを分かち合いたい」とリスペクトも表明しています。

ついに実現!カネロ vs クロフォード、9月の大一番

この試合直後、次戦としてテレンス・クロフォードとの対戦が正式発表されました。
両者は2025年9月12日、ラスベガスのアレジアント・スタジアムで激突する予定で
現階級のPFP(パウンド・フォー・パウンド)トップ同士による夢のスーパーファイトとして早くも注目を集めています。

この対決は、まさに階級を超えたドリームマッチです。
クロフォードは元々ライト級からキャリアをスタートし、直近は154ポンド級まで制覇した史上初の4団体王者です。
しかし168ポンドで戦うのは初めてとなり、体重差という大きな壁に挑むことになります。
色々な問題はありますが、真のビッグマッチとして9月が楽しみでなりません。

レジェンドのマルコ・アントニオ・バレラは「体重差を考えると非常に実現が難しい組み合わせだ」と懸念を示しつつ(クロフォードが3階級上げる必要がある)、もし実現すれば2025年最大のビッグマッチになるだろうと語っています。

カネロの自信とクロフォードの闘志

カネロは当初、クロフォード戦について「小さい相手に勝っても評価されない」と乗り気ではない姿勢も見せていましたが、2024年末には「条件次第だがやるつもりだ」と方針転換を明言。

「クロフォードは確かに素晴らしいファイターだけど、自分の階級で戦えば楽勝だ。
彼はよく動くタイプで本来やりにくいが、最近の試合を見るとそこまで動かなくなっている。
だから報酬さえ見合えば今すぐにでもやる。階級には理由があるんだ」と自身のサイズ優位を強調しました。

対するテレンス・クロフォードも、自身初のスーパーミドル級挑戦となるこの一戦に自信を見せています。
スカル戦をリングサイドで観戦したクロフォードは「カネロはやるべきことをやって勝っただけだ。9月には俺が本当の偉大さが何かを世界に示す。俺こそが最強で、それを証明するから皆この試合を見に来るんだ」とコメントし、決戦に向けて闘志を燃やしました。

カネロの今後のキャリアプラン

カネロはリヤドシーズンとの4試合契約の下、今後の青写真を描いています。
すでに「今後はぜひイギリスで試合をしたい。クリス・ユーバンクJrとの対戦なら実現させたい」とも語っており、リヤドシーズンを率いるトゥルキ・アリシェイク氏も「2026年にユーバンクJr対コナー・ベン戦の勝者をカネロと対戦させたい」と示唆しています。

カネロ自身は「37~38歳での引退」を口にしており、残り少ないキャリアの中でどの試合を選ぶか、世界中が注目しています。

【トレーナー視点】カネロvsクロフォード戦を徹底分析

アスレティックトレーナーとしての経験から見ると、
カネロとクロフォードの対決は体格差以上に興味深い技術的対決となるでしょう。

カネロは近年、パンチ力よりも技術とタイミングを重視する傾向が強まっており、スカル戦でもその傾向が見られました。
しかし、クロフォード戦ではより攻撃的なアプローチが求められるでしょう。

クロフォードはウェルター級までは圧倒的な強さを誇りましたが、スーパーウェルター級に上がった際にもその技術の高さで対応しました。しかし、スーパーミドル級ではさらに14ポンドの重量増加が必要で、スピードとパワーのバランスが大きな課題となります。

体重増加によって筋肉量を増やせば、パワーは増しますがスピードとスタミナは落ちる可能性があります。
逆に体重を最小限に抑えれば、スピードは維持できますがカネロのパワーに耐えられるかが問題です。

日本人ファンにとっては、技術の高さと戦略性で知られる両選手の対決は、
単なるパワーゲームではなく、チェスのような駆け引きが見どころとなるでしょう。

クロフォード戦、勝つのはどっち?読者アンケート

9月12日に迫ったカネロvsクロフォードの一戦、皆さんはどちらが勝つと思いますか?
以下のアンケートに参加して、あなたの予想を教えてください!

  • カネロ・アルバレス(KO/TKO勝利)
  • カネロ・アルバレス(判定勝利)
  • テレンス・クロフォード(KO/TKO勝利)
  • テレンス・クロフォード(判定勝利)
  • 引き分け

また、「最も印象に残ったカネロの試合は?」というテーマでコメントも募集中です。
SNSでは「#カネロ試合」「#カネロクロフォード」のハッシュタグを使って、あなたの感想や予想をシェアしてください!

まとめ:クロフォード戦に期待高まる

スカル戦での低調な内容から一転、9月のクロフォード戦への期待は一気に高まっています。
2025年後半の最大級のビッグマッチとして、ボクシング界全体が盛り上がることは間違いありません。

体重差という大きな要素はありますが、両者のスタイルの違いが生み出す対決構図は非常に興味深く、技術の高いボクシングファンほど楽しめる一戦になるでしょう。スカル戦で見せた消極的な試合内容から、真のビッグファイトへの期待感が高まっています。

カネロが体格とパワーを活かすのか、それともクロフォードの卓越した技術が体重差を覆すのか。
9月12日、ラスベガスの熱い一戦を、私たちは見逃すことができません!
明日の井上尚弥選手の試合も含め、真のボクシングの醍醐味を味わえる試合に期待したいですね。

関連記事


※本記事は2025年5月4日に行われたカネロ・アルバレスvsウィリアム・スカル戦の情報に基づいています。最新情報は公式発表をご確認ください。

【筆者プロフィール】 Ebiちゃん:日本スポーツ協会アスレティックトレーナー・健康運動指導士。整形外科5年、大学トレーニングジム5年、少年サッカーチーム2年、社会人ラグビーチーム2年のトレーナー経験を持つ。趣味はウイスキー(ハイボール)、ゲーム、スポーツ観戦。妻と2人の子ども(5歳の娘と4歳の息子)と暮らすアラサーパパブロガー。

コメント

タイトルとURLをコピーしました