【WBC2026一次ラウンド】種市篤暉の韓国戦3者連続三振を徹底解説|アスレティックトレーナーが身体能力を分析

WBC2026で侍ジャパンの種市篤暉投手が韓国戦で3者連続三振を奪う投球フォーム スポーツ
WBC2026一次ラウンド韓国戦(3月7日)、種市篤暉投手が最速156km/hで3者連続空振り三振を奪い侍ジャパンの勝利に貢献
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WBC2026が開幕し、侍ジャパンは一次ラウンドで快進撃を続けています。
「そういえば種市投手ってなぜWBC代表に選ばれたの?」「韓国戦での投球はどうだったの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
千葉ロッテマリーンズのエース右腕が世界の大舞台で見せた圧巻のパフォーマンスを、今回は詳しく振り返ってみます。

種市篤暉投手はWBC2026の韓国戦(3月7日)で1イニングを投げて3者連続空振り三振・最速156km/hという圧巻のWBCデビューを飾りました。日本が同点の緊迫した場面での登板という大一番で、完璧なピッチングを見せ侍ジャパンの勝ち越しに直接貢献したのです。

私は日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)として8年間、整形外科での臨床経験5年、大学トレーニングジム5年、社会人ラグビーチーム2年の経験があります。この記事では、WBC2026一次ラウンドにおける種市投手の活躍を振り返りつつ、アスレティックトレーナーの専門的視点から彼の身体能力を徹底分析していきます。


種市篤暉の基本プロフィール・成績データ

まずは種市篤暉投手の基本情報から確認しておきましょう。

基本プロフィール

項目詳細
生年月日1998年9月7日(27歳)
出身地青森県三沢市
身長 / 体重183cm / 88kg
投打右投げ / 右打ち
所属チーム千葉ロッテマリーンズ(背番号16)
出身高校八戸工大第一高校
ドラフト2016年 ドラフト6位
推定年俸1億3,000万円(2026年)

プロ通算成績(2026年時点)

項目数値
通算試合数111試合
通算成績37勝31敗2ホールド
通算防御率3.30
2025年成績24試合 9勝8敗 防御率2.63
タイトル月間MVP(2025年9・10月)

2016年ドラフト6位という下位指名からスタートした種市投手ですが、着実にプロの壁を乗り越えてエース格にまで成長しました。特に2020年9月に右肘のトミー・ジョン手術(UCL再建術)を受けてから約2年の長いリハビリを経て、2022年8月11日のソフトバンク戦でマウンドに戻った復活劇はファンの心を掴みました。そして2025年シーズンは24試合で9勝・防御率2.63という堂々たる成績を残し、悲願のWBC日本代表入りを果たしました。


WBC2026一次ラウンド(プールC)振り返り

侍ジャパンはWBC2026でプールC(東京ドーム)に所属し、韓国・チャイニーズタイペイ・オーストラリア・チェコと対戦しました。

一次ラウンド全試合結果

日付対戦カードスコア特記事項
3月6日日本 vs チャイニーズタイペイ13-07回コールド勝利 / 大谷満塁弾
3月7日日本 vs 韓国8-6種市が7回に3者連続三振
3月8日日本 vs オーストラリア4-3接戦を制す
3月10日日本 vs チェコ9-08回にビックイニング

初戦のチャイニーズタイペイ戦では大谷翔平選手の満塁ホームランなどで13-0の大勝。
第2戦の韓国戦は5-5という緊迫した展開の中で種市投手が登場し、流れを変える投球を見せました。第3戦のオーストラリア戦も4-3と接戦をものにし、侍ジャパンは全勝で一次ラウンド通過を決めています。


種市篤暉のWBC2026成績と韓国戦の投球内容

WBC2026 個人成績

試合登板回投球回奪三振最速球速被安打失点
日本 vs 韓国(3/7)7回1回3(全空振り)156km/h00

韓国戦・登板シーン詳細(3月7日)

5-5の同点で迎えた7回、侍ジャパンの3番手として種市投手がマウンドへ上がりました。
試合の流れを左右する重要な場面での登板でしたが、種市投手は全く動じることなく完璧な投球を披露しました。

打者1人目:キム・ヘソン(ドジャース)
初球から155km/hの直球を投げ込み、相手に強烈なインパクトを与えると、そのまま空振り三振。

打者2人目:キム・ドヨン
146km/hのフォークボールで空振り三振。

打者3人目:ジョーンズ
146km/hのフォークボールで空振り三振。

わずか15球という少ない球数で3者連続空振り三振。しかもすべて空振り三振という圧巻の投球でした。
この快投の直後に日本打線がつながり3点を勝ち越し、最終的に8-6で韓国を退けました。

種市投手自身は「自分の持ち味の奪三振でいい流れを持ってこられた」とコメント。チームメイトからも「この流れを持ってきたのは絶対に種市」と絶賛されました。Netflixの公式SNSでも「種市篤暉選手、3者連続3振」と大きく取り上げられ、WBCの大舞台でのデビューを世界中のファンに印象付けました。


「種市篤暉 WBC なぜ」選ばれた理由

「なぜ種市投手がWBC代表に選ばれたのか」と疑問に思った方もいるかもしれません。
実は種市投手とWBCの縁は今回が初めてではありません。

2023年のWBCではサポートメンバーとして名を連ねましたが、出場機会を得ることはできませんでした。
その後も侍ジャパンの代表戦(欧州代表戦、オランダ代表戦など)に召集される機会があり、日本代表スタッフからも高く評価されていました。

選ばれた主な理由を整理すると以下の通りです。

① 150km/h超の速球と決め球フォークの武器を持つリリーバーとしての適性
短いイニングで最大出力を出せる投球スタイルは、中継ぎが重要になる国際大会向きです。

② 2025年シーズンの安定した実績(9勝・防御率2.63)
シーズン通じての実績は代表選考の説得力ある裏付けになりました。

③ トミー・ジョン手術からの完全復活という「強さ」
一度大きな怪我を乗り越えてきたメンタルとフィジカルの強さは、大舞台でも動じない力になっています。

④ 先発・リリーフ兼用で使えるマルチな起用法
「先発でも救援でもやることは変わらない」という柔軟な姿勢も選ばれた大きな要因です。


【アスレティックトレーナー視点】種市篤暉の躍動感ある投球を科学的に分析

ここからは私がアスレティックトレーナーとして最も注目しているポイント、躍動感ある投球」の身体能力分析をお伝えします。この章では、スポーツ科学・バイオメカニクス・スポーツ医学の研究知見に基づいて、種市投手の「何が身体的に優れているのか」を3つの視点からロジカルに解説します。

① トミー・ジョン手術(UCL再建術)後の復活と球速向上

種市投手を語る上で、2020年9月の右肘トミー・ジョン手術(UCL再建術)は絶対に外せないエピソードです。

トミー・ジョン手術とは、野球選手に多い肘の内側側副靭帯(UCL)の損傷に対して行う靭帯再建術です。
一般的な回復期間は12〜18ヶ月とされていますが、投手が以前のパフォーマンスレベルに戻るまでには平均で20ヶ月前後かかるという研究データもあります。

国際的なスポーツ医学研究では、MLB投手のトミー・ジョン手術後の復帰率は約96%と報告されており、82%が同等レベルでの投球に復帰できるとされています(Cohn et al., 2019 / PMC7747121)。
この数字は希望のある数字ではありますが、裏を返せば約18%は同レベルには戻れないという厳しい現実も物語っています。

種市投手はそのハードルを乗り越えるだけでなく、術前の最速153〜154km/hから、復帰後には155〜156km/hへと球速が向上しました。これは「手術後に強くなった投手」の典型例です。その理由として、以下のことが考えられます。

  • 投球メカニクスの再構築: 長いリハビリ期間中に、それまで癖になっていたフォームを根本から見直せる
  • 体幹・下半身の強化: 腕を使えない期間に集中して鍛えた土台が、復帰後の球速向上を支える
  • 痛みからの解放: 術前に感じていた制限・痛みが消えることで、思い切った腕の振りができるようになる

アスレティックトレーナーとして多くのアスリートのリハビリに携わってきた私から見ると、「2年間という長い期間を焦らずに、基礎から丁寧に再構築した」姿勢こそが、この成果につながったと確信しています。また、再断裂への恐怖心を乗り越えて全力で腕を振り切れるメンタルの強さも、身体能力の一つとして評価しています。

② 地面反力の効率的な回収——後ろ脚の爆発と前脚の「壁」

アスレティックトレーナーの視点で種市投手の投球フォームを見たとき、特に目を引くのが地面反力(Ground Reaction Force)の使い方の巧みさです。

投球動作において、地面はただの足場ではありません。
下半身がしっかりと地面を踏み込む力は、地面から「反作用」として身体に返ってきます。
これが「地面反力」であり、投球の推進力の根本となるエネルギー源です。

種市投手の投球で際立っているのは、後ろ脚(右脚)による強力な蹴り出しと、その直後に前脚(左脚)が強靭な壁として機能する急ブレーキです。

具体的なメカニズムを説明します。
後ろ脚で地面を力強く蹴ることで身体全体が打者方向へ推進します。
このとき、前脚がしっかりと地面を踏み込んで「壁」をつくることで、下半身の前方への運動エネルギーが突然ブロックされます。
するとどうなるか——下半身が止まった分のエネルギーは逃げ場を失い、体幹・上半身へと一気に跳ね返っていきます。これが体幹の爆発的な回転を生み出し、最終的に腕・手首・指先を通じてボールに圧倒的なエネルギーが伝わるのです。

スポーツ科学の研究(Kibler et al., Baseball Pitching Biomechanics in Relation to Injury Risk and Performance, PMC3445126)でも、効率的なキネティックチェーン(下半身→体幹→上肢への運動連鎖)が球速と直結することが明らかになっています。特にプロ投手は大学投手と比較して、ストライドが長く、肩の内旋速度・近位力・球速が有意に高いというデータも報告されています。

前脚の「壁」が強固であればあるほど、エネルギーの逃げが少なくなります。
種市投手の88kgという体格が生み出す質量と筋力が、この「壁」の強度を支えているとも言えるでしょう。

③ 体幹の前傾と加速距離の確保——力積を最大化する投球設計

種市投手の投球でもう一点注目したいのが、リリース時の体幹の深い前傾です。

野球の投球動作では、ボールを加速させられる時間帯を「アクセラレーションフェーズ(加速期)」と呼びます。このフェーズが長ければ長いほど、ボールに与えられるエネルギーが増加します。これは物理学における力積(力×時間)の概念そのものです。

力積 = 力 × 時間

つまり、加速期が長くなれば「時間」が増え、同じ筋力でも最終的なボールの速度(運動量の変化)が大きくなる——これが体幹前傾のもたらす物理的なメリットです。

具体的には、コッキング期における胸椎(胸の骨)の十分な伸展(しなり)と回旋によってテイクバックを深く確保することで、その後のアクセラレーションフェーズ(加速期)における体幹の屈曲動作をより長く、力強く引き出すことができます。

これによって:

  1. 加速フェーズが長くなる → ボールに力を加え続けられる時間(力積)が伸びる
  2. 上半身が十分に「しなる」 → 筋肉の弾性エネルギー(伸張反射)を最大限に活用できる
  3. 結果としてリリースポイントが前に押し出される → 打者との物理的な距離が縮まり、体感速度が増す

スポーツ医学・バイオメカニクスの研究(Werner et al., Relationship of Biomechanical Factors to Baseball Pitching Velocity, PubMed 16131704)でも、リリース時の体幹前傾角度の増加が球速と有意に相関することが示されています。また、最大肩外旋角度が大きいほど球速が高くなるというデータも報告されており、体幹の前傾がこの外旋角度を最大化する環境をつくり出しているとも解釈できます。

この「前傾によるアクセラレーション延長」が、種市投手の156km/hという数字と、そこから落差のあるフォークボール146km/hへの切り替えの鋭さ——つまり2球種の緩急差を最大限に活かした投球の根拠になっていると考えます。

身体能力まとめ評価

能力指標評価根拠・ポイント
TJS後の完全復活★★★★★術前より球速向上(156km/h)
地面反力の効率的回収★★★★★前脚の「壁」による上半身へのエネルギー変換
体幹前傾と加速距離★★★★☆力積最大化による球威・球速の向上
2球種の緩急差(直球×フォーク)★★★★★156km/h→146km/hの落差で3者連続空振り三振
大舞台でのメンタル安定★★★★☆5-5同点・7回という大一番での完璧な投球

一次ラウンドを振り返って——種市投手が残したもの

WBC2026一次ラウンドを終えた種市篤暉投手について、改めて整理しておきたいと思います。

数字で見る種市投手の一次ラウンド貢献

  • 登板試合: 1試合(韓国戦・3月7日)
  • 投球回: 1回(15球)
  • 奪三振: 3(全て空振り三振)
  • 失点: 0
  • 最速球速: 156km/h
  • 登板時のゲーム状況: 5-5同点・7回(最も重要な場面)

数字だけ見ても、これ以上ない完璧なWBCデビューを飾ったと言えるでしょう。

「反骨心」が生んだWBCデビュー

種市投手には「絶対にWBCのマウンドに立つ」という強い思いがありました。
元ロッテ監督の吉井理人前監督(現在はWBC投手コーチ)から「お前なら日本代表に入れる」と言葉をかけられ、その言葉を信じてトミー・ジョン手術後の長い道のりを歩んできたそうです。

「ずっとその言葉を信じてやってきた。反骨心で頑張ってきた」という種市投手のコメントは、アスリートとして怪我を乗り越えてきた人間の言葉として非常に重みがあります。

アスレティックトレーナーとして多くのアスリートのリハビリを見てきた私から言わせてもらうと、トミー・ジョン手術からの復帰は身体的な回復だけでなく「また同じ怪我をするかもしれない」という心理的ハードルとの戦いでもあります。その中で全力で腕を振り続けられる精神力も、種市投手の大きな強みです。


個人的な見解——今大会の優勝に種市投手は不可欠だと思う

最後に、アスレティックトレーナーとしてではなく、一野球ファンとしての個人的な見解を述べさせてください。

私は今大会を通じて、種市篤暉投手は侍ジャパン優勝のキーパーソンの一人になると強く感じています。

その理由は大きく2つあります。

理由①:「第2先発」としてのイニングまたぎ起用が考えられるから

先発ローテーションが試合を作り、継投でつなぐ国際大会のスタイルにおいて、”先発の後を受けて2〜3イニングをまたいで投げられる投手”の価値は極めて高い。種市投手は先発経験も豊富なため、「2番手先発」として3〜4回を任される起用が準々決勝以降では十分あり得ます。速球とフォークの2球種だけで勝負できる圧倒的な武器は、複数イニングにわたっても威力が落ちにくいという点で非常に理想的です。

理由②:クローザー的な役割も十分こなせるから

5-5という拮抗した同点の場面で、最速156km/hを叩き込んで3者連続空振り三振——この一事だけでも、韓国戦での登板が「クローザーの資質」を証明しています。先発起用ではなく、重要な場面の1〜2イニングを任されるクローザー的役割でも、十分すぎるほどの実力があります。

WBC2026はまだ準々決勝以降が残っています。大谷翔平選手や山本由伸投手ばかりが注目されがちですが、私は種市篤暉投手こそが「勝負を決める場面での切り札」として、優勝の陰の主役になりうる存在だと思っています。

これからの登板がとても楽しみです。


まとめ:種市篤暉はWBC2026で本物の「世界レベル」を証明した

WBC2026一次ラウンドにおける種市篤暉投手の活躍を振り返ると、改めて以下の3点が際立ちます。

 最速156km/h・3者連続空振り三振という「数字の強さ」
同点の大事な場面で登板し、わずか15球で3つのアウトをすべて空振り三振で取り切った投球内容は、世界トップレベルに通用する実力を証明しました。

 トミー・ジョン手術からの完全復活と、地面反力の効率的な回収
術後に球速を向上させた事実はスポーツ医学的にも優れた回復事例です。加えて、後ろ脚の爆発的な推進力を前脚の「壁」で受け止めて上半身に跳ね返す地面反力の活用が、156km/hを生み出す下半身の土台になっています。

③ 体幹の前傾と力積の最大化による「球の質の高さ」
コッキング期における胸椎の十分な伸展・回旋で深いテイクバックを確保することで、その後の体幹屈曲によるアクセラレーションフェーズが延長され、物理学的な力積(力×時間)が最大化します。これが球威の根源であり、同一フォームから繰り出す156km/hの直球と146km/hのフォークの「鋭い緩急差」を生み出しています。

WBC2026はまだ続きます。準々決勝以降の舞台でも、種市篤暉投手の躍動に大いに期待しましょう!


執筆者情報


執筆者情報

えびちゃんのアバター

エビナ(Ebiちゃん)

保有資格:

  • 日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)
  • 健康運動指導士

経歴:

  • 整形外科 5年
  • 大学トレーニングジム 5年
  • 少年サッカーチーム 2年
  • 社会人ラグビーチーム 2年
  • トレーナー歴 計8年

スポーツ好きのアラサーパパブロガーとして、専門的な知識を活かしたスポーツ分析記事を発信しています。
妻と6歳の長女・5歳の長男と暮らしながら、趣味のウイスキーとゲームも楽しんでいます。キー・ゲーム・スポーツ好きのアラサーパパブロガーのライフスタイルブログ。スポーツ記事では専門知識を活かした科学的で深い分析を提供しています。家族(妻、長女5歳、長男4歳)と共に、人生を楽しみながら情報発信中。


参考文献・エビデンス

  • Cohn RM, et al. “Effect of Ulnar Collateral Ligament Reconstruction on Pitch Accuracy, Velocity, and Movement in Major League Baseball Pitchers.” PMC7747121, 2019.
  • Werner SL, et al. “Relationship of Biomechanical Factors to Baseball Pitching Velocity: Within Pitcher Variation.” PubMed 16131704, 2006.
  • Kibler WB, et al. “Baseball Pitching Biomechanics in Relation to Injury Risk and Performance.” PMC3445126, 2012.
  • Calabrese GJ. “The Clinician’s Guide to Baseball Pitching Biomechanics.” PMC9950989, 2023.

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