2025-26シーズン、レバンガ北海道に加入した富永啓生選手が、Bリーグで平均17.0得点という素晴らしい成績を残しています。「富永啓生 現在」「富永啓生 nba」「富永啓生 nba 可能性」といったキーワードで検索された方も多いのではないでしょうか。
結論から申し上げると、富永啓生選手のNBA入りは「十分に可能性がある」と評価します。
理由は、3ポイント成功率40%という世界トップクラスのシュート力と、オフボールからの高速シュートという武器を持っているためです。一方で、188cm・85kgという体格はNBAではアンダーサイズであり、ディフェンス面での課題があります。しかし、これらは適切なトレーニングで改善可能です。
私は日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)として8年間、整形外科での臨床経験5年、大学トレーニングジムでの指導5年、社会人ラグビーチームでのサポート2年の経験があります。
この記事では、富永選手の身体能力を専門的に分析し、「和製カリー」と呼ばれる彼の真の実力を検証します。
富永啓生の基本データとプロフィール
基本情報
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 生年月日 | 2001年2月1日 |
| 年齢 | 24歳(2025年11月現在) |
| 身長 | 188cm(6’2″) |
| 体重 | 85kg(187lbs) |
| ポジション | シューティングガード |
| 利き手 | 左 |
| 所属チーム | レバンガ北海道 |
経歴と成績
大学時代(ネブラスカ大学)
| シーズン | 得点/試合 | 3P成功率 | ハイライト |
|---|---|---|---|
| 2021-22 | 5.7点 | 33.3% | 編入1年目 |
| 2022-23 | 13.1点 | 40.0% | 5試合連続20得点以上 |
| 2023-24 | 15.1点 | 37.6% | チーム得点2位 |
2022-23シーズンに3ポイント成功率を33%から40%へ大幅に向上させたことが、最大の成長ポイントです。
プロキャリア
- 2024-25: Gリーグ(インディアナ・マッドアンツ)25試合、平均3.4点
- 2025-現在: Bリーグ(レバンガ北海道)平均17.0点、3P成功率38-40%
「和製カリー」の真実:ステフィン・カリーとの比較
富永選手は「和製カリー」と呼ばれますが、実際にステフィン・カリーと何が同じで何が違うのでしょうか。
基本データ比較
| 項目 | カリー | 富永 | 差 |
|---|---|---|---|
| 身長 | 191cm | 188cm | -3cm |
| 体重 | 86kg | 85kg | -1kg |
| 垂直跳び | 90cm | 72cm(推定) | -18cm |
| 3P成功率 | 40.3% | 40.0% | ほぼ同等 |
驚くべき類似点:体格(身長・体重)と3ポイント成功率はほぼ同じです。
最大の違い:垂直跳びが18cm低いことで、シュート時のリリースポイントが約18cm低くなります。これは、ディフェンスにブロックされやすいことを意味します。
スキル比較
シューティング
両選手とも「足で打つ」という同じ技術を使っていますが、違いは:
リリーススピード
- カリー: 0.3-0.4秒(NBA最速)
- 富永: 0.4-0.5秒(NBA平均)
- この0.1秒の差が、厳しいマークの中でシュートを打てるかを分ける
シュートレンジ
- カリー: 3ポイントラインから8-10m離れても高確率
- 富永: 3ポイントライン付近が中心
試合あたりの成功数
- カリー: 4.9本(2022-23)
- 富永: 約2-3本(大学時代)
結論:
成功率は同等だが、試投数と成功数で差があります。
カリーは「いつでもどこからでも」打てる一方、富永選手は「良いシュートを選んで打つ」スタイルです。
試合での影響力「グラビティ」
カリーの最大の武器は「グラビティ(重力)」と呼ばれる現象です:
- カリーがコートにいるだけで、相手ディフェンス2-3人が常に意識
- 3ポイントライン手前から守備が必要
- チーム全体の得点効率が向上
富永選手のグラビティは現時点では発展途上です。
理由は実績不足と、カリーほど遠距離から打たないためです。
しかし、Bリーグでは十分なグラビティを持ち始めています。
富永選手の優れている点:2つの明確な武器
武器1: 3ポイント成功率40%はNBAエリートクラス
数字の意味
NBA 3ポイント成功率の分布:
- トップ10%: 40%以上 ←富永選手はここ
- 上位25%: 38%以上
- 平均: 36-37%
富永選手の40%は、NBA全体のトップ10%に相当します。
なぜ高い成功率を維持できるのか
「足で打つ」技術
- 下半身の大きな筋肉を使うため疲れにくい
- 同じ感覚で毎回打てる
- 試合終盤でも精度が落ちない
柔軟性
- 肩・肘の柔軟性が高く、滑らかなフォーム
- リリースポイントが安定
シュートセレクション
- 無理なシュートを避ける判断力
- 「打てるシュート」を選ぶ能力
武器2: オフボールからの高速シュート
オフボールシュートとは
ボールを持っていない状態から走り込んでキャッチし、すぐにシュートを打つプレーです。
富永選手の速さ
通常の選手:走る→止まる→キャッチ→構え→ジャンプ→リリース = 1.2-1.5秒
富永選手:同じ動作を約1.0秒で完結
この速さはNBAレベルで十分通用します。
なぜ速いのか
減速から加速への素早い切り替え
- 止まる動作とジャンプする動作が一瞬で切り替わる
- 筋肉の弾性エネルギーを効率的に使う
神経系の反応速度
- ボールの軌道予測
- 最適な動きの選択
- 筋肉への指令
- これらを合計0.5秒以下で処理
実戦での効果
スクリーンプレー(味方が壁になるプレー)で特に活きます:
- スクリーンを回り込んでシュート
- ディフェンスが追いつく前にリリース
- トップシューター(カリー43%、クレイ・トンプソン41%)と同等の成功率が期待できる
富永選手の弱点:克服すべき2つの課題
課題1: サイズがアンダーサイズ(188cm、85kg)
NBAとの比較
| 項目 | NBA平均SG | 富永選手 | 差 |
|---|---|---|---|
| 身長 | 196cm | 188cm | -8cm |
| 体重 | 90-95kg | 85kg | -5〜10kg |
| ウィングスパン | 200cm | 190-192cm | -8〜10cm |
8cm低いことの影響
| 場面 | 影響 |
|---|---|
| シュートブロック | ブロックされる確率が15-20%高い |
| リバウンド | リバウンド獲得率が20-30%低い |
| パス | 視界が制限され、ターンオーバーが10-15%増える |
| ディフェンス | 相手に得点される確率が5-10%高い |
対策は可能
サイズのハンデは以下の方法で補えます:
筋力強化
- 体幹トレーニング(デッドリフト、スクワット)
- 目標: 体重を90kgまで増やす(筋肉で)
ポジショニング
- 相手より早く動いて有利な位置を取る
- サイズではなく頭脳で守る
レバレッジ
- 低い重心を活かして相手の力を受け流す
課題2: ディフェンス面で狙われやすい
なぜ狙われるのか
NBAのコーチは相手の弱点を徹底的に研究します。
アンダーサイズの選手は「この選手を攻めれば得点できる」と判断され、意図的に狙われます。
具体的な不利
ピック&ロール(スクリーンプレー)
- 相手のビッグマン(208cm、110kg)とマッチアップ
- 高さ20cm、体重25kgの差で確実に得点される
1on1ディフェンス
- 手の届く範囲が20cm短い
- シュートブロックやパスカットが難しい
体力消耗
- サイズ差を補うため常に全力で動く必要
- 試合終盤に疲れてディフェンスが甘くなる
改善のためのトレーニング
フットワーク訓練
- 横方向の素早い動き
- 後ろ向きの移動速度
- 方向転換の速さ
予測能力の向上
- 相手選手の癖をビデオで研究
- 0.2秒早く動き出す反応訓練
持久力強化
- 高強度インターバルトレーニング(HIIT)
- 試合終盤でも動けるスタミナ
学生時代から現在までの成長
身長と体重の変化
| 時期 | 身長 | 体重 |
|---|---|---|
| 中学3年 | 170cm | 推定60-65kg |
| 高校 | 185cm | 推定70-75kg |
| 現在 | 188cm | 85kg |
中学から18cm成長したことで、高校時代に「1人アリウープ」や「ダンク」ができるようになりました。
この成長期に筋力も適切につけたことが、現在の身体能力の土台です。
3ポイント成功率の向上
大学2年目に33.3%から40.0%へ大幅向上。
この7%の向上は:
- シューティングメカニクスの最適化
- 筋力の向上(体重増加)
- 自信の獲得
- 経験の蓄積
によるものです。
NBA可能性の考察:現実的な道筋
3つのシナリオ
シナリオ1: サマーリーグからの2ウェイ契約(可能性: 中)
- 2025年7月のNBAサマーリーグで平均12-15点、3P成功率40%以上
- チームが興味を示しトレーニングキャンプに招待
- 2ウェイ契約獲得(NBA+Gリーグ)
シナリオ2: Gリーグ契約からのステップアップ(可能性: 高)
- Gリーグチームと正式契約
- 平均15点以上、3P成功率38%以上で実力証明
- NBA親チームからの昇格オファー
シナリオ3: 日本代表での活躍からの注目(可能性: 中〜高)
- 2026年アジア大会、2027年ワールドカップで活躍
- 国際舞台での実績がNBAスカウトの注目を集める
- トライアウトやワークアウトの機会
他の日本人NBA選手との比較
| 選手名 | 身長 | 体重 | 強み | NBA道のり |
|---|---|---|---|---|
| 渡邊雄太 | 206cm | 93kg | 守備力、3P | ドラフト外→Gリーグ→NBA |
| 河村勇輝 | 172cm | 72kg | スピード、パス | ドラフト外→2ウェイ |
| 富永啓生 | 188cm | 85kg | シュート力 | Gリーグ→Bリーグ→? |
富永選手の道のりは、渡邊雄太選手に似たパターンになる可能性が高いです。
まとめ:富永啓生のNBA入りは「時間の問題」
アスレティックトレーナーとして、富永選手のNBA入りは「時間の問題」だと考えています。
カリー比較から見えた真実
カリーと同等の要素:
- 体格(身長差3cm、体重差1kg)
- 3P成功率(40% vs 40.3%)
- シューティングメカニクス
カリーに及ばない要素:
- 垂直跳び(18cm差)
- 試合での影響力(実績不足)
結論: スキル面ではカリーと同等。身体能力と経験値で差があるが、これらはトレーニングと実戦で改善可能。
明確な2つの武器
NBAエリートクラスの3P成功率40%
- NBA全体のトップ10%
- 疲れにくい「足で打つ」技術
- 高い柔軟性による安定性
オフボールからの高速シュート
- 約1.0秒で完結(NBAレベル)
- 素早い減速→加速の切り替え
- スクリーンプレーでの活用性
克服すべき2つの課題
サイズのアンダーサイズ
- 身長-8cm、体重-5〜10kg
- 筋力強化とポジショニングで対応可能
ディフェンス面での不利
- リーチ-20cm
- フットワーク訓練と予測能力向上で改善可能
富永選手へのメッセージ
カリーも大学時代は「サイズ不足」「身体能力不足」と評価されていました。
しかし、体幹筋力の強化とディフェンス技術の向上で、NBAの頂点に立ちました。
富永選手も同じ道を歩めます。Bリーグでの平均17.0得点は、あなたの実力を証明しています。
焦らず、一歩ずつ、NBAへの階段を登ってください。
観戦ポイント:富永選手のプレーを楽しむために
レバンガ北海道の試合で富永選手を観る際、以下に注目してください:
シュートフォームの美しさ
- 膝→肘→手首の流れるような動き
- 力みのない自然なジャンプ
オフボールの動き
- スクリーンの使い方
- ディフェンスを引き付ける動き
シュートセレクション
- 「打てるシュート」を選ぶ判断力
- 無理なシュートを避ける賢さ
左利きの優位性
- 右利きの選手が多いため、ディフェンスが対応しにくい
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執筆者情報
エビナ(Ebiちゃん)
- 日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)
- 健康運動指導士
- トレーナー歴8年(整形外科5年、大学トレーニングジム5年、社会人ラグビー2年)
- 専門分野: アスレティックトレーニング、リハビリテーション、機能解剖学、バイオメカニクス
ブログコンセプト: ウイスキー・ゲーム・スポーツ好きのアラサーパパブロガーのライフスタイルブログ。スポーツ記事では専門知識を活かした科学的で深い分析を提供しています。家族(妻、長女5歳、長男4歳)と共に、人生を楽しみながら情報発信中。
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注意事項: この記事の分析は、執筆時点(2025年11月5日)での情報と専門知識、最新のスポーツ科学研究に基づいています。選手の状態や成績は今後変化する可能性があります。ステフィン・カリーとの比較は、両選手の公開されているデータと専門的推測に基づいています。



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